第二百三十六話 生きていた者達その十一
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そのうえでだ、こう言った。
「美味いのう」
「はい、本能寺からここに戻るまでは」
「一目散に馬を進めてな」
「それからも若し攻めて来たらとなり」
「籠城の用意をしておったからな」
「普通に食することもありませんでしたから」
「美味いわ」
その湯漬けがというのだ。
「実に美味い」
「左様ですね」
「幸村達も無事でよかったわ」
「どの方も安土に帰って来られて」
「それも何よりじゃ」
「無論奇妙殿も」
「うむ、無事じゃった」
あの者もというのだ。
「織田家も安泰じゃ」
「はい、ただ」
「うむ、わしと奇妙に同時に何があるとな」
そうなった時のことをだ、信長はここで言った。美味そうに湯漬けを漬けものと共に食しているがここでは手が止まった。
「それで織田家が終わる」
「そうなりますので」
「鎌倉幕府の様になってしまう」
源氏の血が完全に絶えて以後執権政治となっただ。
「ああなるつもりはない」
「だからですね」
「手を考えておくか」
「織田家の天下である為に」
「奇妙の血筋が天下を継ぐが」
もっと言えば彼の家の嫡子がだ。
「それだけではなく」
「何かあった時の為に」
「分家に家を相続させる資格を設けておこう」
「そうされますか」
「茶筅の家等にな」
こう言うのだった。
「そう考えておる」
「それはいいことです」
「三家程にな」
「ですか、それでは」
「その様にしよう」
「これもまた天下の政ですね」
「御三家と言おうか」
その本家に何かあった時に織田家を継ぐ分家のことである。
「そうしたものを置く」
「さすれば」
「そうしようぞ、ではまずはこの安土に諸大名が来る」
「そしてそのうえで」
「最後の戦を告げる」
「天下を泰平にする為の」
「あの者達のことも話す」
信長は帰蝶にこうも言った。
「先程の者達のこともな」
「確か魔界衆といいましたが」
「あの者達のことを知った時はまさかと思った」
そうだったというのだ。
「その者達がいるとはな」
「天下に」
「そうは思わなかったが」
「天下を裏から乱し脅かす者達が」
「それもかなり早くからわしに仕掛けておった」
「上様に対して」
「わしが尾張一国を治める様になった頃からな」
まさにその頃からだというのだ。
「仕掛けておった」
「勘十郎殿に仕掛けていた」
「あの津々木という者もな」
「そうだったのですね」
「そして久政殿にもじゃ」
仕掛けていたというのだ。
「道理で急におかしくなられた筈じゃ」
「あの方についても」
「裏にあの者達がおってな」
「操っていたのですね」
「久政殿にしてもな、そしてじゃ」
信長は漬けものも食べつつ言った。
「比叡山や高野山にも入りじ
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