第四幕その二
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「お仕事中だとわかっていましたが」
「そうした気遣いはいいわ」
にこりと笑ってです、ジュリアは恵梨香に答えました。
「別にね」
「そうですか」
「ええ、ただね」
「ただ?」
「このオレンジだけれど」
朝一番で摘み取っているそれがというのです。
「これが凄く美味しいのよ」
「オズマ姫がいつも召し上がられますよね」
「ドロシー達もね」
「そして私達も」
「普通に食べても美味しいし」
それにというのです。
「しかもね」
「ジャムとかにしてもいいですよね」
「どういった風にしても美味しいの」
「このオレンジは」
「宮殿の果物やお野菜は何でも美味しいでしょ」
「それが、ですね」
「こうしていつも摘み取ってるの」
ジュリアが、というのです。
「毎朝ね」
「そうなんですね」
「このオレンジ達がどうなるか」
にこりと笑いつつです、ジュリアは手に持っているそのオレンジを見詰めながら恵梨香にお話するのでした。
「それも楽しみよね」
「本当にそのまま食べてもいいですし」
「ジャムとかにしてもね」
「そうですよね」
「オレンジ自体が美味しいと」
それで、というのです。
「何にしても美味しいのよね」
「はい、どんな風にしても」
「モジャボロさんや魔法使いはカクテルや果実酒もお好きよ」
「オレンジのですね」
「そうなの、よく夜に飲んでおられるわ」
オレンジを使って作ったカクテルやそれを入れたカ果実酒をというのです。
「気持ちよくね」
「そうなんですね」
「そうなの、お酒にも使うし」
「だから余計にですね」
「毎朝こうして摘み取るお仕事がね」
それこそというのです。
「楽しくて仕方ないの」
「ジュリアさんの楽しみの一つですね
「そうなの」
「じゃあ私がお手伝いしたら」
「したいの?」
「駄目ですか?」
あらためてです、恵梨香はジュリアに尋ねました。
「そうしたら」
「いいわよ」
笑顔で、です。ジュリアは恵梨香に答えました。
「恵梨香がそうしたいならね」
「有り難うございます、それじゃあ」
「お野菜や果物は朝一番で採るとね」
「美味しいっていいますね」
「西瓜もそうなのよ」
甘くて水分がとても多いこのお野菜もというのです。
「朝が一番美味しいのよ」
「朝に採って朝に食べるのがですね」
「そうなの、今朝どうかしら」
「あっ、今朝は西瓜ですか」
「それもよかったら出すけれど」
「お願いします、私西瓜も大好きなんです」
明るい笑顔になって自分の両手を重ね合わせてです、恵梨香はジュリアに言いました。
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