第四幕その一
[8]前話 [2]次話
第四幕 最高のカレー
ジュリア=ジャムは朝早くから宮殿のお庭にあるオレンジを採っていました。そのジュリアのところにです。
恵梨香が来てです、彼女に尋ねました。
「今からですか」
「ええ、お仕事をしてるの」
ジュリアは恵梨香ににこりと笑って答えました。
「こうしてね」
「まだ朝早いのに」
「私いつもこうなの」
「そういえばいつも早起きですね」
「朝早く起きて働くの」
それがジュリア=ジャムの毎日なのです。
「こうしてね」
「それで夜は、ですね」
「早く寝てるの」
「早寝早起きですね」
「少なくとも誰よりも早く寝てね」
そしてというのです。
「早く起きてるわ」
「宮殿の中で一番ですね」
「私は姫様のお付きの侍女だから」
メイドさんだからというのです。
「そうしてるの」
「メイドさんも大変ですね」
「いやいや、特にね」
「大変じゃないですか」
「姫様はとても優しいから。前のかかしさんもね」
「あの人は、ですね」
「そうでしょ、他の人を怒ったりしないし」
そうした人ではありません、かかしも木樵もとても心優しいので。
「それにね」
「あの人は食べることも寝ることもないので」
「何もしなくてよかったし。魔法使いさんも」
「あの人はあの頃はずっとお一人でおられて」
「何でもご自身でされていたから」
だからというのです。
「私は何もね」
「することがなかったんですか」
「そうなの、それで姫様もね」
「いい方なので」
「怒られたりしないし。それどころかね」
怒られるどころかというのです。
「いつも褒めてもらってるの」
「そうなんですね」
「だからね」
「お仕事はですか」
「全然辛くないわ、むしろね」
「楽しいんですね」
「こんな楽しい仕事ないわ」
宮殿でのメイドのお仕事はというのです。
「私はずっとここで働くわ」
「早寝早起きをして」
「そうしてね」
「そうですか、そういえばジュリアさんお疲れのことはないですね」
「いつも元気よ」
「そうですよね」
「何の不満もなくて」
満面の笑顔での言葉です。
「この通りよ」
「それは何よりですね」
「ええ。ただ貴女も早いわね」
「今朝はですね」
「またどうしたの?」
「昨日かなり早く寝まして」
それで、というのです。
「早く起きてしまって」
「それで起きて」
「着替えてお散歩していました」
「そうだったの」
「そうしたらジュリアさんがおられて」
「話し掛けてきたってことね」
「そうなんです」
こうお話したのでした。
[8]前話 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ