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ソードアート・オンライン 少年と贖罪の剣
第十三話:決戦前夜、追憶
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しまった。
 あそこで誰か一人でも失えば、いや、少しでも危機的状況に陥れば彼らは踏みとどまれたのかもしれない。けれど運命は残酷に、その時は訪れてしまう。

「オレが一人でクエストに行っていた時だ。あいつらは、以前から持ち掛けられていたラフコフからの要求を、呑んだんだ。
 多分、焦っていたんだろう。ある程度のレベルになってしまえばそれなりにレベリングに時間はかかる。中々上がらないレベルに焦りを覚えて、ラフコフとの交渉の応じた結果が????」

「あの惨劇、ということか」

 首肯する。
 どうしようもない渇きを感じて、レンは新たに満たしたカップに口をつけた。

「……交渉は単純。アイギスが要求した金額の対価として、奴らは近々計画されていたラフコフ掃討戦の情報を欲した。どういった考えで応じたのかは分からないが、結局、ネロはそれに応じた。オレは、アイツらの最期の時まで、その事実を知らなかった」

「………最期」

 ラフィン・コフィンによる被害を遂に見過ごすことのできなくなった攻略組の有志による掃討作戦。
 前日まで練りに練った作戦は、しかし居城へ突入した刹那に崩れ去った。 
 まるでこちらの作戦を事前に知っていたかのような奇襲、罠の数々。鍛え上げられた攻略組プレイヤーが、少なくない数亡くなった。

「今でも覚えてる……オレの剣が、あいつらを斬る感触を。
 ………この世界の嫌な所だよ。
 肉を断ち切り骨を砕く感触が、やけにリアルに手に伝わってくる」

 アイギスの仲間達を斬ったのはクリミナルエスパーダだった。

 最初の一人は大柄な男。いつも穏やかな笑みを浮かべている、心優しい人だった。名をダイル。

 次は快活な少女。あらゆる事に前向きで、その明るさにいつも助けられた。名をリン。

 三番目は小生意気な少年。だが、憎まれ口を叩きながら、誰よりも仲間を大切にしていたのを覚えている。名をシュウ。

 そして最後は、真紅の少女。人を護る事を何よりも優先し、決して折れぬ心を持った、レンが知る中で最も尊敬していた人。名をネロ。


「全員…笑っていた……ッ」

 死の間際。
 絶対に生きて帰ると誓い合った仲間達は、レンになら、自分達が信じた男にならば殺されてもいいと言った。
 四人全員が、レンに感謝を告げて、そして逝った。

 あの時を思い出す度に、自分の無力さを痛感する。
 それと同時に、強く、激しく思うことがある。

「過程がどうであれ、オレが殺したのは間違いない。そして、アイギスが攻略組を裏切ったのも、真実だ」




† †



「………ハァーー?????」

 深く、重い溜息。
 吐き出したのは、レンだった。

「疲れた。ガラにもなく感傷的に
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