第十三話:決戦前夜、追憶
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込めて、ただ黙して。
各々に多様な応答を見せたギルドマスター達へレンは頷く。
「オレからは以上だ」
この言葉を最後に、作戦会議は終了となった。
† †
朱に染まる空。
現実世界に同期する季節は冬。まだ日が昇っている時刻とはいえ、決して暖かくはない。
にも関わらず、白の外套を羽織ったレンはただただ沈み行く太陽を眺めていた。
吐く息は白く、風に攫われて消えていく。その様子を見て、レンは踵を返した。
「……!」
「やあ」
帰路の途中に立っていたのは純白の鎧を纏った騎士。鮮やかな水色の髪がトレードマークの彼は、レンの姿を認めて背を預けていた木から離れた。
「ディアベルか。どうかしたか?」
聖竜連合。
最も初期に設立された二つのギルドの内の一つであり、現在では血盟騎士団と双璧をなすトップギルドの一つ。
その長であるディアベルは、不思議そうな顔をするレンに薄く微笑んだ。
「君が出所してからマトモに話していなかったからね。少し、思い出話をと思ってね」
「まあ、お互いに忙しかったからな。ああ、そうだな。久しぶりに話そう。オレの家に来るか?」
「ああ、是非。僕の所に招こうとしたらギルドメンバーが色々騒ぎ立てるだろうからね」
『レン』という存在は、ほぼすべてのプレイヤーにとって英雄の如き存在だ。
攻めは苛烈、守りは鉄壁。類い稀な指揮能力を有し、カリスマ性も抜群。また、最近では無限剣なる未知のスキルで以ってその株は更に上昇している。
しかしそれとは別に。レンを快く思わない人間も少なからず存在する。ラフコフのプレイヤー達がその最たる例だ。彼らはこの世界を歪ながら愛するが故に、この世界を終わらせようとするレンとウマが合わない。
そしてラフコフの他が、ディアベル率いる聖竜連合のギルドメンバー達である。
別にレンが彼らに対して何かをやった訳ではない。
彼らがレンを疎む理由はただ一つ。それは尊敬する団長が最も信頼を寄せているのがレンだからというだけだ。
故に仲が悪い。ただ、彼らも感情論を抜きにすればレンの強さを認めており、レンの指示にはよく従うというなんだかツンデレのような構図になっている。
「ここは変わらないね」
「あまり弄ってはいないからな」
レンがディアベルをホームに招いたのはこれで三度目となる。
元々、第一層の攻略作戦からの仲だ。必然的に交流は多くなるし、親しくもなる。
部屋の中央に位置するテーブルには、五つの椅子が。それを見て、ディアベルは悲しい気持ちになった。
「どうかしたか?」
「いや、なんでもないよ」
だが、それを口にすることはない。レンは己で答えを見つ
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