第十三話:決戦前夜、追憶
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り決めがある。それは作戦行動の円滑化の為など様々な理由があり、大体は血盟騎士団や聖竜連合から選ばれる。
まだこの鉄城の攻略が始まったばかりの頃こそレンがほぼ全ての戦場で先頭に立ち続けていたが、ギルドシステムの発見とネロと行動を共にするようになってからは彼が作戦指揮を執ることは少なくなっていた。
しかし『ネロ』という枷がなくなり、より一層迅速な階層攻略を意識し始めたレンは、再び先頭に立つことを選んだ。勿論、ラスボスとしていずれ戦線離脱するヒースクリフへの依存から抜け出すという目的もあった。
「知っての通り、偵察隊が壊滅という被害を受けた。勿論、ボス部屋の情報は皆無に等しい。更に次は七十五層……つまりクォーターポイントでもある。恐らく、これまでにない激戦になるだろう」
それは、この場にいる全員が薄々感じていることだ。
クォーターポイント。これまで潜り抜けてきた第二十五層、第五十層共に、ボスがかなり強力だったことによりそう名付けられている。
第二十五層では、現在の《軍》が前線から離脱し保身を優先することとなった直接の原因であり。
第五十層は多数の死者を出しながら、レンというプレイヤーの存在をこの電子世界中に知らしめることとなるきっかけであった。
そして、七十五層。各ギルドから集められた精鋭が、悉く帰ることがなかった。
「敵について唯一わかっていることは、NPCから聞き出した『攻撃力が高い』ということだけだよ」
円卓でレンの隣に座るヒースクリフの更に隣。そう声を上げたのは鮮やかな水色の髪を垂らした少年だった。
身に纏うは純白の全身鎧。左胸には黄金の竜のマーク。
『血盟騎士団』と双璧を成す一大ギルド。『聖竜連合』ギルドマスター、『ディアベル』だった。
「攻撃力が高い、か。フン、あまり役に立たん情報だな」
そう切り捨てたのはギルド『ゴールデンハインド』のギルドマスターだが、レンは彼の意見に首を振った。
「馬鹿言うな。その情報があるだけである程度の戦略は建てられる。ありがとな、ディアベル」
「いや、他でもない君からの依頼だったんだ。寧ろそれしか提供できなくてすまない」
「オレらはなんの情報も集められなかったんだ。感謝こそすれ、叱責する理由などない」
アスナとキリトが前線から一時引いた後、レンはヒースクリフを経由して有力ギルドにボスの情報を集めさせると同時に、フロアのマッピングを行っていた。
結局、情報は一つとして手に入ることはなかったが。
「さて、情報は少ないが手に入った。メンバーも揃った」
立ち上がる。
「明日だ。
明日、正午を以って第七十五層攻略作戦を開始する。各プレイヤーには覚悟を決めさせておいてくれ」
不承不承、慇懃に、期待を
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