第十三話:決戦前夜、追憶
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「????名前を、教えてくれませんか……?」
「名前……?」
それは真実、突拍子もないことで。思わず目を丸くしたレンに、ユメはハッとした表情を浮かべた。
「も、勿論嫌だったら教えなくてもいいよ!? リアルの事を聞くのはマナー違反だし!」
「なんでだ?」
「へ?」
気づけば、レンは身を起こしていた。赤い目が、ユメを見据える。
「そ、その……現実世界に帰ったら、会えなくなっちゃうじゃん? それは、嫌だなぁって、思って」
言いながら、ユメは顔から湯気が出そうな程に赤面していた。いや、感情が表情に現れやすいこの世界だ。本当に湯気が出ているかもしれない。
しかし、レンからの返事はない。恐る恐る、ユメは顔を上げる。
「れ、レン……?」
「………………紺野だ」
「へ?」
レンは、笑っていた。久しく見ていなかったレンの笑みに、ユメは更に頬が熱くなるのを感じた。
「…紺野縺。それが、オレの名前だ」
「こんの……れん………」
彼の名前を、呟く。そうすると、なんとなく満たされた気持ちになった。
「…………えへ」
「人の名前を呟いてニヤつくとは……お前は変態か」
「なっ!? ち、違うよ!ただ…なんか、嬉しくって」
どうやっても、ニヤついた口は元に戻ろうとしない。まあ、仕方がないと言えば仕方がないのだろう。
リアルの話をするのがタブーなこの世界で、名前を教えてもらったということは、それだけユメが信頼されているという証だ。好意を寄せている相手に信頼してもらっているという事実だけで、少女がニヤけるのは十分だったのだ。
「それで、お前の名前は?」
「へっ、あ、私の名前は榮希梦っていいます」
「……名前、そのまんまなんだな」
「それはレンも同じじゃん」
「まあな………くぁ…」
レンが欠伸をしたのに連られて、ユメも小さく欠伸を漏らした。
「……寝るか」
「うん」
「おやすみ、梦」
「! おっ、おやすみ縺!」
穏やかに、緩やかに。幸せな気分のまま、ユメは眠りにつくのだった。
その二ヶ月後、レンの元に偵察部隊の壊滅の報らせが届くのだった。
† †
偵察班壊滅の報を受けた明朝。レンはヒースクリフに呼ばれて血盟騎士団のホームにいた。
「……まさか、半数????いや、突入した全員が殺されるとはな」
「偵察部隊の二十名の内、十名がボスフロアへ突入した後に扉が閉まったらしい。誰一人として離脱できなかったところを鑑みるに、内部は結晶無効空間である可能性が高い」
「よく言う。アンタは答えを知っているだろうが」
「
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