第十三話:決戦前夜、追憶
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はないだろ」
大方、レンに非難されると思っていたのだろう。
この世界を終わらせることを最も強く願っているのはレンなのだと知っている二人だからこそ、自分達が攻略組の主力であることを正しく理解しているからこそ、そう思ったに違いない。
だが、その程度のことで二人を非難する程、レンの器は小さくない。
「例えこの世界が仮初めだったとしても、オレ達は正しくここで生きている。だったら、幸福を追求する権利は誰にだってある。オレはお前達を祝福しよう」
「レン君……」
それはレンの心からの言葉だった。目を丸くした二人に、レンは微笑みかける。
「……そんな顔をするなよ。お前達が抜けた穴はなんとかして埋めるさ」
キリトとアスナが、攻略組の中でもトッププレイヤーである事は今更疑いようもない。その二人が、一時的とはいえ前線から離れるのだ。その損失は果てしなく大きい。
それでもなんとかする、と言ってのける所がレンらしい。
「……ごめんね。なるべくすぐに戻るから」
「ああ、もう。これだから、うじうじアスナは……」
「う、うじっ……!?ど、どういう意味よ!?」
「普段は凛々しいくせに、一度責任を感じ始めると三日経つまで延々とうじうじするアスナ。ちなみに言いだしたのはユメだから文句はユメに言ってくれ。今すぐにその拳を降ろすんだ」
顔を真っ赤にして立ち上がったアスナをキリトと二人がかりで宥める。
「まあ、冗談はともかくとしてだ。オレが祝福してるんだ。黙って幸せになってこい」
暴論、だからこそレンらしいと、気づけば二人は笑みを浮かべていた。
「ありがとな、レン」
「おう。またな、キリト、アスナ」
暫く他愛ない会話をして、やがて時間だということでこの場はお開きとなった。
仲良く歩いて去って行く二人を見送って、溜息をついた。
しばらく街並みを眺めてから、家に戻る。仮想世界のくせにしっかりと感じる肌寒さに毒づきながらリビングに入った。
「あ、お帰りレン」
「おま……不法侵入だぞ」
「レンがドア開けっ放しにしてボーッとしてるのが悪いの」
いつの間に入り込んだのか。ソファーの上では装備を解除してラフな格好になったユメが寝転がっていた。
「はぁ……それで、なんの用だ?」
「んー……気まぐれかなぁ」
計らずも、ユメが《猫》と揶揄される理由を知るレンであった。
「気まぐれ……まあいい。メシ作ってくれ、それで宿代はチャラにしてやる」
「え、有料だったのここ!?」
† †
「ほぇー……アスナっちとキリトがねー……」
「なんだ、知らなかったのか?」
「いや、あの二人の
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