第十三話:決戦前夜、追憶
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「……それで、一体どうした?」
「ああ……えっとな」
ネロの形見にも等しい赤き大剣を手に入れてグランザムに戻ってきたレンは、キリトとアスナに呼び止められた。
何やら神妙な面持ちをしているのを見て只事ではない事を理解したのだろう。立ち話もなんだから、という理由でレンは二人をホームに招いた。
「あー……その…」
キリトの歯切れの悪い返事に、レンは訝しげな表情を浮かべる。
キリトという男はそこまで社交的な人間ではないが、逆に思ったことはすぐに口に出すタイプだと知っているからこそ、レンの疑問は深まる。
「まさか……愛の逃避行か?」
「ぶっ!?」
「ちょ、レン君!?」
レンが投下した爆弾によって甚大な被害を受ける二人。なまじ内容が間違ってはいない分、余計にタチが悪かった。
「……仲がよろしいことで」
「い、いや!これには深い理由があってだな!」
面白いくらい慌てる二人をニヤニヤと眺める。
その視線に気づいたのか、キリトは気まずげに腰を下ろした。
「……私が一から説明するわ」
キリトが役に立たないと判断したのか、アスナがレンのに視線を合わせた。それに、レンも笑みを引っ込める。
† †
「……そんなことがあったのか」
アスナから説明されたその事件の顛末を聞いて、レンは表情を歪めた。ティーカップを手に取り、口を湿らす。
「……クラディールは、俺が殺した」
曰く、アスナの退団を巡りキリトとヒースクリフがデュエル。
敗北したキリトは事前の約束通り血盟騎士団へ入団。その後、キリトの戦力把握として血盟騎士団のゴドフリーと、キリトと因縁のあるクラディール含む5人程で圏外へ。
キリトへの復讐を狙っていたクラディールは、その場で血盟騎士団の三名を殺害。その後、キリトを殺しにかかるもアスナが到着。結果的に、キリトがクラディールを殺害し、事件は終息。
事の顛末をヒースクリフに報告したキリトとアスナは、彼より一時退団の許可を得て、ここにいる、と。
「お前が気に病む必要はない。その状況なら、オレであっても同じようにしただろうしな」
クラディールはラフィン・コファンに入っていたらしい。正式なギルド入団という事ではなかったらしいが、彼の手にはカリカチュアライズされた笑う棺桶の刺青があったという。疑いようもなく、ラフコフのギルドマークだ。
「それで、お前達はどうするんだ?」
「……少しだけ、前線から離れさせてくれないか?」
申し訳なさそうに、気まずそうに。キリトとアスナがレンを窺い見る。その友人の態度に、レンは思わず溜息をついた。二人の肩が跳ねる。
「二人が出した決断ならオレが文句言う資格
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