1部分:第一章
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も彼女をこう呼んだ。
「ええ。そういうことだからね」
そこまで言うと踵を返した。そうして彼女は敬太郎達の前から姿を消した。後には憮然とした顔で地団駄を踏む啓太郎達がいるだけであった。
「やっぱり無理だったか」
「相変わらずだよな、由比ちゃんは」
本人がいなくなったのを確認してこの愛称で呼ぶ。
「何でああも堅苦しいんだかね」
「美人だしスタイルもいいのにな」
「しかも成績優秀スポーツ万能」
つまり完璧美少女というわけだ。そんな女の子も滅多にいない。
「あれでなあ。性格があんなに生真面目でなかったら」
「おかげでこっちは苦労するよ」
「そうだよな。まあ今回は仕方ないな」
啓太郎は溜息混じりに言うのだった。
「今回はな。公園で練習するか」
「そうだな。仕方ないけれど」
「公園の管理人さんに許可もらってな」
こういうことにはしっかりとした彼等であった。だがそれでもどうにも気が晴れない。気が晴れないがそれでも彼等はダンスの練習には打ち込む。その休みで公園での練習が終わってからある程度はすっきりしたがそれでも気は完全には晴れてはいないのであった。
この日彼等はジーンズやシャツといったラフな格好でダンスの練習に興じていた。見物人も来て彼等に明るく応対しながら練習をしていた。それが終わってその見物人達の話をふと耳に入れるのだった。
「そういえばさ今度のコスプレでも彼女来るらしいぜ」
「ああ、あそこでだな」
「あそこ!?ああ」
啓太郎はあそこと聞いてそこが何処なのかわかった。彼はダンスの他にもコスプレ会場に行くことを趣味としているのだ。彼がするわけではなくそれをしている女の子達を見るのが好きなのだ。あそこと聞いて何処かわかる程にまで入れ込んでいる趣味であるのだ。
「あの会場か」
「あの娘また出るかな」
「ああ、あの娘か」
「あの娘!?」
彼等の話を仲間達と休憩しながら耳だけで聞く。彼がマークしていない美人がいるのかと思って何でもないふうを装って真剣に聞いていた。
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