第十八話。終わる日常
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、幻とかずるいわよ!」
音央は抗議するが、氷澄は取り合わずに首を振った。
「勝利を間近に控えた瞬間の油断……勝ったのかどうかも解らない、思考の隙間。そこに俺の言葉による誘導催眠を行ったに過ぎない。つまり______俺を窮地に追い込んだと思った、お前達の油断が幻を受け入れさせたのさ」
『窮地こそ自身の転機に変える』。
それが氷澄が描く主人公像。
氷澄はすでに持っているのだ。俺にはない主人公としてのイメージや具体的な形を。
「さて、氷澄。起死回生も成したのじゃから、そろそろ終わりにするかの?」
「そうだな。まあ、よくやった方だったよ」
「ケッ、兄貴を抑えたのはほとんど俺だろうが!」
「わかっとるよ、キンゾー。じゃから最期にアレをやるぞー?」
「アレか。ま、いいか。兄貴ならアレを喰らっても死なないだろうしな」
氷澄の瞳が蒼く輝き始める。
ラインとジーサードは、真っ直ぐ俺の方を見つめている。
そして。
ジーサードはラインと俺達との間に立った。
ラインの姿が見えなくなる。
来るぞ。
______『音速境界』と『流星』が来る!
「ふぇ……『妖精……』」
音央が技名を言おうとした時には。
「遅いわ??」
ラインの叫び声が聞こえて。
「『厄災の眼』」
「『音速境界』」
「『流星』」
もの凄い衝撃音と共に。
ジーサードの体がラインによって押され。
音速の速度からさらに加速して向かって来て。
「『流星境界』!」
その姿を俺の視界が捉えた時にはすでに______俺の体は派手に吹き飛んでいたのだった。
2010年6月19日。午前4時40分。 ???
気づけば俺は知らない場所でプカプカ浮いていた。
そこは実に不思議な空間だった。
色とりどりの花が咲き乱れているが、どれもこれも毒々しい色合いをしていて、ステンドグラスのような彩られた様々な光が四方八方から差し込めている。キィキィと小さな虫が鳴いているような耳障りな音が辺りから響いてきて……。
虫……蟲だと??
つまり、ここは______。
「『魔女の工房』にようこそ、モンジ君」
その声の方に視線を向けると。
プカプカと浮いている俺のすぐ傍に、黒い帽子とフードマントを纏ったキリカがふわふわ浮いていた。
「こんなことも出来るのか。魔女って凄いよなぁ」
「魔女だからね!」
お決まりの台詞を吐いたキリカの言う通り。
その場所の印象は魔女らしかった。
キリカの愛らしさとはまるで
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