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101番目の舶ィ語
第十八話。終わる日常
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「フンッ、そんなもの……」

「逃がさないわよ! 左右どっちに避けるのかはもう見抜いたんだから!」

音央の両腕から伸びた蔦がラインの両サイドから迫った。

「うおっ! なるほど! 先ほどまでの無闇な攻撃は、わらわの回避の癖を読んでおった、というわけか!」

「え?? そ、そうだけど、説明ありがと!」

「じゃが、わらわには真っ直ぐが……」

「『奈落落とし(アビスフォール)』!」

「ぬおおお??」

ラインの逃げ場は前方しかない、が。前にはすでに……巨大な口を開けた、漆黒の暗闇が待ち構えている。

「待て待て、わらわは急に止まらぬー??」

「ラインっ??」

氷澄の焦った声が響き渡るが。
そのまま、ラインは言葉通り止まることなど出来ずに。
すっぽりと暗闇の穴の中に入り込んでしまった。

「え、あれ、あっさり?」

「これで終わりでいいのでしょうか?」

二人は戸惑いの声をあげる。
それも無理はない。
一之江や俺が苦戦した相手。
それがあっさりと倒せたのだろうから。
だが……俺は知っている。
ラインはこの程度で『いなくならない』ということを。

「まだだ、二人共! まだ終わってない!」

「フッ、その通りだ。ライン! お前は______『いなくなったと思ったら、目の前にいる』ロアだろう?」

「えっ?」

「っ??」

そして、俺達の前を一瞬で何者かが横切るような気配を感じて。

「わっ、誰かいた??」

「まさか、出てきたのですか??」

二人の焦った声が聞こえた。
ラインがあの空間から抜け出せるはずはない。
神隠しは『最強』クラスの能力を持つロアなのだから。
だが……。

「ばぁ」


「きゃあ??」

「め、目の前に??」

ラインが再びその姿を現した。

「ふむ、やはり『ばぁ』はどうかと思うんじゃが」

「気にするな。その方が怖いだろう?」

氷澄の言葉にラインは「そうかもしれんが……」などとボヤいている。

「どうやって出たのよ??」

「お主らは暗示にかかりやすくなっておったのじゃ。いるはずがないわらわを見るくらいに」

「いるはずが……ない?」

「うむ、つまりお主らはこう思ったはずじゃ。わらわが……『ラインは目の前にいる』と」

「ラインは『ターボ婆さん』のロアだからな。『目の前にいる』と思わせれば、現れることができる。そういうロアだからな」

そう、それもまた都市伝説のルール。
俺達は氷澄の幻惑にかかってしまったせいにより、ラインが『目の前にいる』と思い込んでしまったのだ。だから、ラインは『奈落落とし』に閉じ込められても、出てくることができた。

「ま
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