第十八話。終わる日常
[4/23]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
「フンッ、そんなもの……」
「逃がさないわよ! 左右どっちに避けるのかはもう見抜いたんだから!」
音央の両腕から伸びた蔦がラインの両サイドから迫った。
「うおっ! なるほど! 先ほどまでの無闇な攻撃は、わらわの回避の癖を読んでおった、というわけか!」
「え?? そ、そうだけど、説明ありがと!」
「じゃが、わらわには真っ直ぐが……」
「『奈落落とし』!」
「ぬおおお??」
ラインの逃げ場は前方しかない、が。前にはすでに……巨大な口を開けた、漆黒の暗闇が待ち構えている。
「待て待て、わらわは急に止まらぬー??」
「ラインっ??」
氷澄の焦った声が響き渡るが。
そのまま、ラインは言葉通り止まることなど出来ずに。
すっぽりと暗闇の穴の中に入り込んでしまった。
「え、あれ、あっさり?」
「これで終わりでいいのでしょうか?」
二人は戸惑いの声をあげる。
それも無理はない。
一之江や俺が苦戦した相手。
それがあっさりと倒せたのだろうから。
だが……俺は知っている。
ラインはこの程度で『いなくならない』ということを。
「まだだ、二人共! まだ終わってない!」
「フッ、その通りだ。ライン! お前は______『いなくなったと思ったら、目の前にいる』ロアだろう?」
「えっ?」
「っ??」
そして、俺達の前を一瞬で何者かが横切るような気配を感じて。
「わっ、誰かいた??」
「まさか、出てきたのですか??」
二人の焦った声が聞こえた。
ラインがあの空間から抜け出せるはずはない。
神隠しは『最強』クラスの能力を持つロアなのだから。
だが……。
「ばぁ」
「きゃあ??」
「め、目の前に??」
ラインが再びその姿を現した。
「ふむ、やはり『ばぁ』はどうかと思うんじゃが」
「気にするな。その方が怖いだろう?」
氷澄の言葉にラインは「そうかもしれんが……」などとボヤいている。
「どうやって出たのよ??」
「お主らは暗示にかかりやすくなっておったのじゃ。いるはずがないわらわを見るくらいに」
「いるはずが……ない?」
「うむ、つまりお主らはこう思ったはずじゃ。わらわが……『ラインは目の前にいる』と」
「ラインは『ターボ婆さん』のロアだからな。『目の前にいる』と思わせれば、現れることができる。そういうロアだからな」
そう、それもまた都市伝説のルール。
俺達は氷澄の幻惑にかかってしまったせいにより、ラインが『目の前にいる』と思い込んでしまったのだ。だから、ラインは『奈落落とし』に閉じ込められても、出てくることができた。
「ま
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]
しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ