第十八話。終わる日常
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るような感触を感じる。
「何すんだよ、一之江??」
「さっきのはミズエ・ドリル。あれはロアバージョンだったので、回転度をかなり上げたものでした。そして今のは瑞江・ドリル。良い子にも優しい指先の大回転です」
右手の人差し指を立てて一之江は説明した。
確かにさっきのに比べたらだいぶ優しいが……って、ちょっと待て!
「指先だけで、あの激痛を起こした……だと??」
「困るキリカさんを助ける為でした」
『うう、瑞江ちゃんありがとう……』
キリカは困っていたのか。なんというか、女心ってやっぱり難しいな。
「何やってんのよ」
「おそらく、何かの手段でキリカさんと交信しているみたいですね」
音央や鳴央ちゃんまでもが加わって賑やかになってきた。
と、そんなこんなで姦しく騒いでいると。
「痛ってぇぇ、バカ兄貴の分際でやりやがったな……」
キンゾーが起き上がり。
それを合図に、氷澄やラインも立ち上がった。
「もう回復したのか?」
「歩ける程度にはな。そろそろ戻って完全回復に専念させて貰うさ」
「そっか。それじゃ、連絡先交換しようぜ」
俺たちは互いの連絡先を交換し合った。
『氷澄・エンフィールド』……それが氷澄の本名らしい。
「それじゃあの。たまには境山でバイクでも運転するがよい」
「免許取ったらな」
ラインはラインでマイペースにその姿を消していき。
「俺のでよければいつでも乗せてやるよ」
キンゾーはキンゾーで派手派手な特攻服を着て、爆音を立ててバイクを走らせ消えていった。
氷澄は、軽く片手を挙げて立ち去っていく。
「それじゃ、また、な!」
俺は立ち去る氷澄の背にそう呟いた。
「ふぅー、終わったな」
地面に膝を着きながら、俺はそう呟くと。
「ええ、結構疲れましたね……」
一之江は溜息交じりに呟き。
「よいしょっ」
膝をついた俺の背中に、自身の背中を乗せて寄りかかってきた。
「うおっと??」
「ちゃんと支えなさい。私は怪我人の身でありながらわざわざ来てやったのですから」
「ああ、そう……だな」
「そうですよ。それにしても……勝手に『百物語』になりやがりましたね」
「……まあ、それは、ほら」
「ほら……なんですか?」
「……お前が傷付く姿は見たくなかったんだ。
俺はお前らを、みんなを、大切な物語を守れる『主人公』になりたい!」
「……ふぅ、貴方も男の子なんですね」
一之江のその口調は諦めを含む声色だが、優しい響きも持っていた。
「これ以上、足を引っ張ったら許しませんからね」
「ああ______解った」
「約束しなさい。無茶だけは
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