暁 〜小説投稿サイト〜
101番目の舶ィ語
第十八話。終わる日常
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るような感触を感じる。

「何すんだよ、一之江??」

「さっきのはミズエ・ドリル。あれはロアバージョンだったので、回転度をかなり上げたものでした。そして今のは瑞江・ドリル。良い子にも優しい指先の大回転です」

右手の人差し指を立てて一之江は説明した。
確かにさっきのに比べたらだいぶ優しいが……って、ちょっと待て!

「指先だけで、あの激痛を起こした……だと??」

「困るキリカさんを助ける為でした」

『うう、瑞江ちゃんありがとう……』

キリカは困っていたのか。なんというか、女心ってやっぱり難しいな。

「何やってんのよ」

「おそらく、何かの手段でキリカさんと交信しているみたいですね」

音央や鳴央ちゃんまでもが加わって賑やかになってきた。
と、そんなこんなで姦しく騒いでいると。

「痛ってぇぇ、バカ兄貴の分際でやりやがったな……」

キンゾーが起き上がり。
それを合図に、氷澄やラインも立ち上がった。

「もう回復したのか?」

「歩ける程度にはな。そろそろ戻って完全回復に専念させて貰うさ」

「そっか。それじゃ、連絡先交換しようぜ」

俺たちは互いの連絡先を交換し合った。

『氷澄・エンフィールド』……それが氷澄の本名らしい。

「それじゃあの。たまには境山でバイクでも運転するがよい」

「免許取ったらな」

ラインはラインでマイペースにその姿を消していき。

「俺のでよければいつでも乗せてやるよ」

キンゾーはキンゾーで派手派手な特攻服を着て、爆音を立ててバイクを走らせ消えていった。
氷澄は、軽く片手を挙げて立ち去っていく。

「それじゃ、また、な!」

俺は立ち去る氷澄の背にそう呟いた。

「ふぅー、終わったな」

地面に膝を着きながら、俺はそう呟くと。

「ええ、結構疲れましたね……」

一之江は溜息交じりに呟き。

「よいしょっ」

膝をついた俺の背中に、自身の背中を乗せて寄りかかってきた。

「うおっと??」

「ちゃんと支えなさい。私は怪我人の身でありながらわざわざ来てやったのですから」

「ああ、そう……だな」

「そうですよ。それにしても……勝手に『百物語』になりやがりましたね」

「……まあ、それは、ほら」

「ほら……なんですか?」

「……お前が傷付く姿は見たくなかったんだ。
俺はお前らを、みんなを、大切な物語を守れる『主人公』になりたい!」

「……ふぅ、貴方も男の子なんですね」

一之江のその口調は諦めを含む声色だが、優しい響きも持っていた。

「これ以上、足を引っ張ったら許しませんからね」

「ああ______解った」

「約束しなさい。無茶だけは
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