暁 〜小説投稿サイト〜
101番目の舶ィ語
第十八話。終わる日常
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ようだ。

「それに、Dフォンを構えたか……百物語め。やっぱり殺さないという甘い認識で戦うのは無理のようだな」

……Dフォンを構えたのは、なんとなくそうした方がいいような気がしたからだ。
カメラで捉えたら解決する。ロアを相手にするならそんな認識が自然と付いている。

「あー、もうちょこまかと……」

苛立つ音央の声が聞こえて視線を向けると。
あちらも、音央の放つ無数の茨かシュルッとラインに向かって伸びては、ヒラリと躱されていた。茨の蔦はさらに音央の手首辺りから伸び始めると、それが独特の生き物のようにウネウネとラインに向かっていた。
鳴央ちゃんはそんな様子をじっと見つめていた。
おそらく、音央が茨でラインを誘い込み、そして動きを封じてからあの真っ暗な暗闇。全てを忘れる暗黒の穴。『奈落落とし(アビスフォール)』に落とす! それを狙っているのだろう。
______『主人公』対『主人公』、『ロア』対『ロア』。
それが理想の戦い方なら、俺は今この戦いの場で、この瞬間から強くなるしかない。
みんなを。俺の物語を守る為に。

「せやああああ??」

そんなことを考えていたその時。
音央の鋭い声と共に大量の茨が俺達の方にも伸びてきた。
あの茨はかなり痛かったのを思い出す。一つ一つが鋭い刃のような棘を持っているので、囚われた相手はひとたまりもないのだ。あの痛みはもう味わいたくない。
だから俺は慌ててその場から遠ざかった。

「チッ、ラインの奴邪魔しやがって」

「敵味方関係なく攻撃するとは恐ろしいな。あれが『神隠し』か……」

ジーサードと氷澄も、ほとんど同じタイミングでその場から遠ざかっていた。

「ほっほっほっ、なるほど。わらわの速度には敵わんから、ここら一帯をその茨で包もうというのか」

「素早い相手には手数で勝負って一之江さんに聞いたもの!」

「ふむ……そして、そちらの黒髪の方はわらわを……何かの効果範囲に入れる為に待っておるようじゃの」

「うくっ……」

鳴央ちゃんは狙いを読まれて、下唇を噛んでいた。
おそらく『妖精庭園(フェアリーガーデン)』。あの場所にラインを取り込もうとしているのだろう。
だが、ラインの速度は音速。
鳴央ちゃんが『妖精庭園(フェアリーガーデン)』でその姿を捕らえるより速く移動されてしまったら、『奈落落とし(アビスフォール)』に落とすこともできないのだろうな。


「あんなに素早く動くのに、どうやって捉えればいいのよ……」

「ほっほっほっ、わらわの強さが身に染みたか、神隠し?」

「なーんてね、弱音を吐いたフリをしてみただけよ!」

「ぬっ?」

その言葉通り、ラインの背後から迫っていた茨が、一気にラインの背中に向かって伸びた!
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