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101番目の舶ィ語
第十八話。終わる日常
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いうのは、まあ気まぐれに手を貸してもいい。俺にとってもお前のような人間を辞めた人間が同じ街にいるだけでもプラスだからな」

「なんだよ、人間辞めた人間って……ま、協力してくれるのは嬉しいけどさ」

「本当は貴方が勝ったのだから、彼を貴方の物語として取り込んでもいいのですよ?」

俺の横で、いつもの蒼青学園の制服姿になった一之江がさらりとそう言ったが。

「いや、それは違うだろ?」

確かにさっきの勝負には勝ったが、その前の戦いでは負けていたからな。

「一勝一敗だろ?」

「まあ、そうですが」

「うむ。わらわとお主も一勝一敗じゃぞ」

「ですから、最初のは本気を出していなかったと言っているでしょう」

「わはは、それでも一勝一敗はかわりあるまい!」

豪快に笑いながら、ラインは一之江に告げる。
一之江はそんなラインに反論はせずに、ふう、と溜息を吐いた。
そんな彼女らの傍らでは音央や鳴央の姉妹は「お風呂に入りたい」と言っている。
……雨降って地固まる、ってヤツか。

『お疲れ様、モンジ君っ』

と、手の甲からキリカの声が聞こえた。

「ああ、キリカもありがとうな。お前のアドバイスのおかげで助かったぜ」

「いいって、いいって。私もモンジ君のお役に立てて嬉しいからね」

「そうか? それならいいや」

などと呟いた俺だが、ヒステリアモードに軽くかかっていた俺はふと、キリカが先ほどまで弱っていた光景を思い出してしまい。
キリカへの感謝を込めて……自分の手の甲に口づけをしてしまった。
と、その瞬間。

『ひゃわああああ??』


キリカの声が頭の中で響いた。

「え? な、なんだ、どうした?」

『も、もも……』

「桃?」

『も、もも、ももモンジ君、ま、まんで?』

「桃……まん?」

なんだよ? まさか、キリカ……アリアみたいな桃まん中毒になったとか言わないよな?

『い、今、今っ!』

「……? 手の甲に口づけしたのがいけなかったのか?
感謝の気持ちを込めてみたんだが……」

軽い挨拶みたいなものだったんだが。

『か、感謝、か、そ、そうだよね。うん、そうだよねっ! ……モンジ君だし』

……うーん、感謝はやっぱり言葉で伝えないと伝わないのかもな。

「そうだよなー。すまん。間接キスみたいになっちまったな」

『へ? 間接キス? ……あー、うん、そうね、そうだね、それで驚いたんだよ!』

「うん?」

キリカの声がなんか沈んだのだが、なんかしたか俺?

「瑞江・ドリルー」

「うっ、ぎゃああああ??」

背中に突然激痛が走った。
ガリガリガリガリと、背中になにやら硬いものが突き刺さ
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