第十八話。終わる日常
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『今、貴方の後ろにいるの』
「何っ??」
ラインは一之江の声を聞いてしまった。
「馬鹿な……」
氷澄は、俺の声を聞いてしまった。
だから。
一之江はラインの背後にピッタリ、くっついて彼女を抱き締めて。
俺は氷澄の背後について、彼を羽交い締めにしていた。
キンゾーは何もない。誰もいない場所に一人で突っ込み。
ガッシャーンと何かを壊すような音をあげ、そして静かになった。
多分死んでいないと思うので放置して氷澄とラインに向かって話しかける。
「一之江が俺を庇って倒れた時、お前は言ったよな。『二人に降りかかるはずの厄災を一人で肩代わりしたというのか』って。つまり、こうやってその厄災は……」
「目の前にいる人に肩代わりさせることが出来るということです」
そう言ったその瞬間、まるで台風のような、強力な空気の渦がキンゾーが向かった先から突然発生して、俺達を襲いかかる。
俺達はその渦に飲み込まれて、空中に高く放り出された。
俺は空中に突然投げ出されたにもかかわらず、意外に冷静だった。ヒステリアモードの俺だから、というのもあるが、なぜだかまるで負ける気はしなかった。
俺は投げ出された空中で、体を動かし……おもいっきり氷澄を空中に放り投げた。
まったく同じタイミングで一之江が放り投げたラインに向けて。
直後、ゴチン、と鈍い音が鳴り響き、二人は地面に落下していった。
それを見届けながら、俺と一之江は空中で手を繋いで______。
衝撃の威力を殺すように、何度か回転しながら地面に着地した。
「すっごい……」
「モンジさん、一之江さん……」
着地地点にいた音央、鳴央ちゃん姉妹の呆けたような声を聞きながら、ドサッと地面に落ちたラインと氷澄の姿を確認して。
その姿を見納めてから、俺達は安堵の溜息をついて。
「俺達の勝ちだ」
「私の勝ちですよ『ターボロリババ』」
そう宣言したのだった。
2010年6月19日。午前5時半。夜霞市内路上。
しばらくして目を覚ました氷澄にはもう戦闘の意思はなくなっていた。
雨も止み、雲も薄くなっているせいか、朝日は明るく感じる。
そんな朝日を見ながら思う。
(今日、学校なくてよかった……)
「で、だ、氷澄」
「約束は守るさ」
「心配せんでも氷澄は約束は守る男じゃよ?」
眼鏡をかけ直した氷澄を見ながら、ラインはスカートに付いた汚れを叩きながらそう言う。
(ちょ、スカート叩くな?? 見えたらヒスるだろうが!)
ヒステリア性の血流が収まってきた俺はラインから慌てて視線を逸らす。
「仲間になる、という意味はよく解らないが……この街を守ると
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