第十八話。終わる日常
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繰り出したその瞬間。
キンゾーの姿が突然目の前から消えた。
「??」
煙のように消えたキンゾーを見て。
頭の中に過ぎったのは。
前回の戦いでのラインとキンゾーのこと。
俺はキンゾーが目の前にいるはずだ、と思って戦っていたが……。
『俺の首を撥ねたのは……お前か?』
その声が聞こえ。
ゾクリ。
背後から感じる冷たい気配に身体が膠着してしまい。
その瞬間。
俺の身体が突然、自分の意識とは別に動き始めて。
______ヒュン。
俺の首があった場所を何かが通過した音が聞こえた。
「チッ……また避けられたか。誇っていいぜ、兄貴。俺の『不可視の線糸』を何度も躱したのは兄貴が初めてだからな」
地面に倒れこんだ俺の頭上からそんなキンゾーの声が聞こえてきた。
(い、今のは……まさか)
「『幻の邪眼』。
今のを躱すとは……どうやらお前の認識を改めねばならないみたいだな、一文字疾風」
氷澄の瞳が蒼い光を放つ。
______何かしてくる!
「それを待っていたぜ……」
直後、ゾワッとした寒気と。
その光が強くなっているのを感じた俺は……。
「これを喰らえ!」
すぐさまジャージのズボンのポケットに入れていた手鏡を取り出して、氷澄の顔に突きつけた。
「つ??」
「邪眼には、鏡だ!」
わざわざ、家に戻った理由。
それは、この手鏡を取りに行く為だ。
昔、映画で、見ただけで相手を石に変えてしまうという『メデューサ』という名の怪物を倒す方法が、『鏡に映ったメデューサを倒す』といったもので。
それとは微妙に違うが、ヒントにはなった。
つまり、相手の眼から何かが出るのなら、光を反射させるとか、自分と相手の間に障害になるものを割り込ませるとかすればいいんだ。
「くっ??」
氷澄は苦しげに呻き、後ろによろけた。
何かをする気だったのかはわからないが……チャンスだ!
そう思った俺は左手にDフォンを構え______。
俺は氷澄に向かって右手で『桜花』を放つが……。
「??」
「させるかよ!」
パシュ!
『橘花』と同じ技を使われて。
その突きは、キンゾーによって防がれる。
左手に持ったDフォンのカメラを氷澄に向けたが。
俺はキンゾーに脇腹を蹴られDフォンで氷澄の姿を撮ることはできなかった。
「チッ……」
「マナーがなってないぜ兄貴。写真撮影はNGだ」
「くっ……やるじゃないか、一文字疾風。だが、それもここまでだ!」
氷澄はその目を抑えながら、よろめきつつ立ち上がるが、すぐに倒れそうに体が傾いて、慌てて持ち直そうとしていた。その姿はまるで酔っ払いの
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