七話:真夜中
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ースを決して戦場には連れて行かない。
確かに、彼の言うように守るならば戦場に連れて行かないのが普通だろう。
「あの男は自分から提示した契約は守る。それにウーノはまともな方だ。不自由な思いはさせているが、君に害を及ぼすことにはなっていないだろう?」
『それに関しては、問題はない。彼女ともある程度打ち解けてきた』
「そうかい、それは良かった。あと半年もすればスカリエッティが君の体を再現させるはずだ。そうすればはやて達の元に返してあげられる」
だが、リインフォースは切嗣がワザと連れて行かないようにしているように感じられた。
それは自分の汚い行いを見せるのを嫌がるように。
間違いを犯し続けているのを責められるのを嫌がるように。
まるで、子どもが親からいたずらを隠そうとしているかのように感じられるのだ。
「そうだ、この前送った映画や音楽はどうだった?」
『ああ、楽しませてもらったよ。永劫の時を旅してきて、全てを知ったつもりになっていたが、こういった娯楽に関しては疎かったようだ。世界というのは広いのだな』
「うん、世界は本当に広い……」
少し、満足気な笑みを浮かべながら彼は遠くを見つめる。
彼は人間の愚かさを憎んでいる。犠牲なくしては生きられぬ性を呪っている。
だとしても、彼は人間が大好きなのだ。人類を愛しているのだ。
まさに愛憎が入り混じった感情を抱き続ける人間らしすぎる心を持つから苦しむ。
もしも、聖人のように愛だけを持てていれば。狂人のように憎しみだけを持てていれば。
こんなにも苦しむことはなかったであろう。
ごく普通の人間だからこそ、現在の衛宮切嗣になってしまったのだ。
『いつかは、広い世界を実際に見聞きしたいものだ』
「そうだね、はやて達の元に帰ってから思いっきり人生を謳歌してくれると僕も嬉しい」
『…………』
ああ、またこれだ。リインフォースは内心で小さくため息を吐く。
切嗣は完全に自分が人生を楽しむことを放棄している。
あくまでも、他人の幸せを祈ることしかしていない。
そのことがどうしてもリインフォースには許せなかった。
『お前は人生を楽しむということはしないのか?』
「僕が? 人の人生を奪い続けている人間に人生を楽しむ権利なんてあるわけがない」
『それで、お前は自分が切り捨てた人生を私に送らせようとしているのか?』
「…………」
返事はなかった。しかし、それが答えであった。
衛宮切嗣がここに至るまでの間に切り捨ててきた人の営み。
それこそがリインフォースに対して身に付けさせようとしているもの。
日に日に人間らしくなる彼女に対して、徐々に感情を削ぎ落としていく彼。
まるで、己の魂を分け与え、人形に命を与えよ
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