番外編
あなたの横顔
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に教えてもらえませんか?」
「私は何も知りません……ごめんなさい……」
私の謝罪の言葉を聞いた時のご両親の表情が、頭にこびりついて離れない。口を抑え、声が出てしまうのを必死に抑えながら涙を流すお母様の表情が目に痛く、お父様の歯ぎしりの音が、私の耳にいつまでも残響した。
「どこに行ったんだ……シュウのヤツは……」
「ヒエイちゃんもいなくなって……その上なんでシュウまで……」
すみませんお父様お母様……私は本当に知りません……
部活が終わり、家路に着く。私の通学路の途中には小さな神社があり、以前私は下校中、そこで何かに悩んだ先輩と出会ったことがある。秋口の、風が私の髪を揺らす程度に強い日だった。
私はその時、先輩から妙な相談を受けた。
――もし僕が、秦野自身も知らない、
秦野の秘密を知ってるって言ったら……聞きたい?
本人は必死に隠しているつもりなのかもしれないが、先輩は割と思ったことが顔に出やすい。もっとも他のみんなに言わせると、それは私が先輩のことをよく見ているかららしいけど。その時も先輩は自分からは相談を打ち明けず、私が先輩の悩みを見抜いてからの独白だった。
私はあの時、自分の気持ちを伝えたつもりだった。
『私は先輩のことを誰よりも信頼してます。だから先輩には、それがどれだけ辛い内容だとしても、話して欲しいと思います。それが先輩の言葉なら、私は受け止めます』
だが、その言葉は先輩には届かなかったらしい。私は先輩に、私を見て欲しかった。でも先輩は……先輩の目は、私ではない、遠くにいる誰かを見ていた。私に目を向けてくれなかった。先輩は私の言葉を聞きながらも、その誰かの姿を追いかけていることが分かった。
先輩が頭を撫でて欲しそうな顔をしたから、私は頭を撫でてあげた。きっと先輩は、その人に頭を撫でて欲しいんだ……その人に撫でられるのが好きなんだ……だから私は、私の事を見て欲しくて、無理矢理に先輩の頭を撫でた。
『多分ですけど、その人もきっと私と同じです。先輩の言葉なら、どんな言葉でもきっと受け止めてくれます』
――でも、私ではダメなんですか先輩
私は先輩のことをよく見ている。先輩のことなら、どんなに小さなことでも気付く自信がある。先輩が追いかける人……それはきっと、コンクールで先輩を励ました人だ。先輩にお弁当を渡して元気をおすそわけし、会場で大声で先輩を勇気づけた、笑顔の眩しいあの人だ。
親しそうに先輩の名を呼び、館内放送で直接注意をされた後も、先輩を真摯な表情で見守っていたのが私にも見えた。一目見ただけで、とても素敵な女性だということが伝わってきた。
そして私の言葉では安心出来なかった先輩が、その女性のおかげでリラックス出来ていたことが
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