暁 〜小説投稿サイト〜
大海原でつかまえて
12.新生活スタート
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府の運営に関わりはじめた。おかげで資材の運用効率がかなり改善されたと聞いている。そのおかげで、なぜかは知らないけど空母勢……特に赤城さんの機嫌が最近いいと聞いた。岸田は結果を出している。

 一方の僕はどうだろう。みんなに甘えているだけではないだろうか……僕はみんなの役に立てるだろうか……。

「そっかー……私達、やっぱり似た者夫婦なのかな」
「へ? なんで?」
「私もね。シュウくんの家にお世話になった時、似たようなことで悩んでたから」

 そう言えば、姉ちゃんは僕の家に来てまだ間もない頃、色々思いつめてハニービーンズでアルバイトとかしてたっけ。

「うん。今でも覚えてるよ! “ご一緒に! ポテトは!! いかがですか?!”」
「いや、今はいいです……」
「そっかー……しょぼーん……」

 あの日々が懐かしい。あの後確か姉ちゃん、店長にクビを言い渡されて、カツラを強奪して一緒に逃げたんだよね。

「ひぇええ?! じ、時効だよシュウくん!!」

 途端に両手でわちゃわちゃおたおたしはじめる姉ちゃん。やっぱりゲームのグラフィックと違って、くるくると表情がよく変わる目の前の姉ちゃんは、本当に魅力的で素敵だ。

 ひと通りわちゃわちゃし終わった後、姉ちゃんは優しく微笑み、一緒に月を眺めながら、手をつないでくれた。

「シュウくん、さっきお風呂でね。加賀さんと一緒だったんだよ」
「うん」
「でね、“今度、シュウくんが金管楽器の音楽教室開くんですよー”って言ったの」
「なんか加賀さん、そういうのに興味なさそうだなぁ……」
「逆だよ! 加賀さん、なんて言ったと思う?」
「へ? ……んー、わかんない」

――私も演歌を嗜んでるし、話が合いそうだわ。
  今度シュウとセッションしてみたいわね。さすがに気分が高揚します。

 意外だ。あのクールな人が演歌を嗜んでいるとは……そういえば執務室のジュークボックスに『加賀岬』って演歌の曲がセットされてたことを思い出した。まさかね……。

「あとね。第六駆逐隊の子たちは分かる?」
「うん」
「あの暁ちゃんがね」

――私は今度からシュウくんの楽器教室に通うことにするわ!
  だって、一人前のレディーなら楽器ぐらい出来て当然よね!!

 あの暁って子は、いつも口癖のように“一人前のレディー”って言ってるけど、何かこだわりでもあるのだろうか……

「あとは、那智さんがこの前言ってたんだけど……」

――シュウはトロンボーンが吹けるらしいな。ジャズは吹けるのか?
  生演奏を聞きながらの達磨は最高だ。楽しみだな。

 そういやこの前会った時に妙にジャズについて聞いてきてたな……ジャズかー……レパートリーにないから練習しとこうかな。……達磨ってなんだ?
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