12.新生活スタート
[9/10]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
府の運営に関わりはじめた。おかげで資材の運用効率がかなり改善されたと聞いている。そのおかげで、なぜかは知らないけど空母勢……特に赤城さんの機嫌が最近いいと聞いた。岸田は結果を出している。
一方の僕はどうだろう。みんなに甘えているだけではないだろうか……僕はみんなの役に立てるだろうか……。
「そっかー……私達、やっぱり似た者夫婦なのかな」
「へ? なんで?」
「私もね。シュウくんの家にお世話になった時、似たようなことで悩んでたから」
そう言えば、姉ちゃんは僕の家に来てまだ間もない頃、色々思いつめてハニービーンズでアルバイトとかしてたっけ。
「うん。今でも覚えてるよ! “ご一緒に! ポテトは!! いかがですか?!”」
「いや、今はいいです……」
「そっかー……しょぼーん……」
あの日々が懐かしい。あの後確か姉ちゃん、店長にクビを言い渡されて、カツラを強奪して一緒に逃げたんだよね。
「ひぇええ?! じ、時効だよシュウくん!!」
途端に両手でわちゃわちゃおたおたしはじめる姉ちゃん。やっぱりゲームのグラフィックと違って、くるくると表情がよく変わる目の前の姉ちゃんは、本当に魅力的で素敵だ。
ひと通りわちゃわちゃし終わった後、姉ちゃんは優しく微笑み、一緒に月を眺めながら、手をつないでくれた。
「シュウくん、さっきお風呂でね。加賀さんと一緒だったんだよ」
「うん」
「でね、“今度、シュウくんが金管楽器の音楽教室開くんですよー”って言ったの」
「なんか加賀さん、そういうのに興味なさそうだなぁ……」
「逆だよ! 加賀さん、なんて言ったと思う?」
「へ? ……んー、わかんない」
――私も演歌を嗜んでるし、話が合いそうだわ。
今度シュウとセッションしてみたいわね。さすがに気分が高揚します。
意外だ。あのクールな人が演歌を嗜んでいるとは……そういえば執務室のジュークボックスに『加賀岬』って演歌の曲がセットされてたことを思い出した。まさかね……。
「あとね。第六駆逐隊の子たちは分かる?」
「うん」
「あの暁ちゃんがね」
――私は今度からシュウくんの楽器教室に通うことにするわ!
だって、一人前のレディーなら楽器ぐらい出来て当然よね!!
あの暁って子は、いつも口癖のように“一人前のレディー”って言ってるけど、何かこだわりでもあるのだろうか……
「あとは、那智さんがこの前言ってたんだけど……」
――シュウはトロンボーンが吹けるらしいな。ジャズは吹けるのか?
生演奏を聞きながらの達磨は最高だ。楽しみだな。
そういやこの前会った時に妙にジャズについて聞いてきてたな……ジャズかー……レパートリーにないから練習しとこうかな。……達磨ってなんだ?
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ