12.新生活スタート
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り考えててもしょうがないだろ」
と言っていた。だが同時に
「シュウと違って、俺はまだ“叢雲に会う”っていう明確なトリガーがあるから、気楽なだけかもしれないけどな。……どっちにしろ、俺はお前に最後まで付き合う覚悟だから」
とも言ってくれた。どうやら岸田は、僕が鎮守府にいる以上、僕とともにこの場に残り続けてくれるらしい。やだなにこのイケメン……
今後のことを考えながら、鎮守府備え付けの大浴場から上がる。鎮守府から支給された寝間着に身を包み、酒保でラムネを購入した。明日からは、僕も純白の制服に身を包み、叢雲たんチュッチュ鎮守府所属音楽隊隊長としての日々を始めることになる。本格的にこちらでの生活がスタートするのだ。僕はこっちの世界の生活に溶け込めるだろうか。みんなの足を引っ張らず、みんなの役に立てるだろうか。
ラムネを飲んでいたら、窓から綺麗な満月が見えた。あまりに綺麗な月だったので、お風呂でほてった身体を冷やすのも兼ねて、僕は中庭に出る。確かに季節は僕の世界と変わらず冬だが、さっきまでお風呂に入ってたせいもあって、冷たい外気が心地よい。
「シュウくん」
声が聞こえたので振り返ったら、お風呂あがりの姉ちゃんがいた。僕の家でお風呂に入った後と同じように、ほっぺたをほんのり赤くして、体中から湯気を出して、目はトロンとしていた。
「やっ。姉ちゃん」
「シュウくんもちょうど今上がったとこ?」
「いや、でも少し前にだよ」
姉ちゃんが僕の前に立ち、ちょっとだけ眉間にシワを寄せて顔を近づけてきた。顔近い顔近い……
「んん? シュウくん、背、伸びた?」
「そうかな?」
「うん。私がシュウくんちに行ってた時は、もうちょっと顔が近かったような……んー……やっぱり遠いなー……」
姉ちゃんがそう言いながら、さらに顔を近づけてくる。ほんのりシャンプーの香りをさせるのは反則だぞ姉ちゃん……。
「反則か〜……しょぼーん……」
「ま、まぁ、伸びたのかもね」
目に見えて落ち込んだ後、僕の隣に立って一緒に月を眺める。
「綺麗な月だね」
「うん」
こうやって肩を並べてみると、確かに僕は背が伸びたのかも知れない。前は僕と姉ちゃんの肩の位置はほぼ同じ高さだったけど、今は僕のほうが少し高い。
「……シュウくん」
「ん?」
「悩み事?」
姉ちゃんはするどいなぁ……隠し事が出来ないや。さすがは僕の嫁……って言えばいいのかな?
「うん」
「明日からのこと?」
「うん。……ちゃんとこっちでやってけるのかなーって。みんな僕を喜んで迎え入れてくれてるけど……命がけで戦うみんなの役に立てるのかなーって」
岸田は提督の素質がある。今は相談役として、正式に提督と共にこの鎮守
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