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大海原でつかまえて
11.帰還
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は? ……あ、でも比叡お姉様とケッコンしたということは……」
「いえーす! 榛名と霧島にとっては、シュウくんは弟でありながら義理の兄という、昼ドラも裸足で逃げ出すディフィカルトな間柄になるのデス!」

 金剛さんの一言を聞いて、榛名さんがハッとし、霧島さんがメガネをキラーンと光らせた。マンガ並のリアクションを見せるんだなこの姉妹……さすが姉ちゃんの姉妹だ。

「てことは?!」
「お兄様……ですね」
「シュウお兄さま?!」

 いやおかしい。絶対おかしい。姉ちゃん、自分の妹たちの暴走を止めてくれ。

「ぇえ〜……でもシュウくん……お姉ちゃんたち、ケッコンしたし……もじもじ」

 ダメだこりゃ……当面姉ちゃんに『ケッコン』的な言葉は禁句なようだ……

 そんなこんなでしばらく艦娘のみんなからの激しい祝福を受けていると、人だかりの遠くから『すまん。通してくれ』という声が聞こえてきた。声の主は提督。提督は艦娘たちを描き分け、僕達の方に近づいてきた。

「姉ちゃん」
「ん?」
「もう大丈夫」
「うん。分かった」

 足に少し痛みは走るが、もう大丈夫。僕は姉ちゃんの肩から離れ、姉ちゃんが僕の右隣に立ってくれた。僕の右腕をしっかり支えてくれるのがとてもうれしい。提督が僕達の前まで来た後、僕達に敬礼をしてくれ、姉ちゃんたちも敬礼を返す。岸田も血涙を流しながら敬礼を返していた。僕も慌てて敬礼を返そうとするが、提督はそれを笑顔で制止する。そして姉ちゃんを見た。

「比叡、お前はよく迷子になるけど、その度にビッグなおみやげを持ってきてくれるな」
「はい! この比叡も、みんなにシュウくんを知ってもらえてうれしいです!」
「だな。ずっと自慢してたもんな。ずっと“みんなに会わせたい”って言ってたもんな」
「はい!!」
「あきつ丸にもお礼言っとけよ」
「はい! 全部あきつ丸さんのおかげです! ありがとうあきつ丸さん!!」

 この場にいる全員の視線が、あきつ丸さんに集まった。あきつ丸さんはその純白のほっぺたをうっすら赤く染めて、困ったような、恥ずかしいような、そんなちょっとはにかんだ表情をした。

「自分は……ただ比叡殿に、恩をお返ししたかっただけなのであります……でも、シュウ殿に来て頂いて、本当によかったであります」

「だな。シュウがいなきゃ、比叡は助からなかっただろう」

 提督とあきつ丸さんが僕の方を見る。続いて提督は自身の手袋を外しながら、笑顔でこう言った。

「手を出してくれ」
「? はい」

 僕が素直に、言われたとおり右手を出すと、提督は手袋を外した両手で僕の手をがっしりと掴んだ。昨日握手したときよりも、さらに力強い握手だった。

「橋立シュウ! 鎮守府を代表して礼を言う! 二度も比叡
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