勝ってよ!!
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その頃別の場所ではまた1つ戦いに終止符が打たれようとしていた。
「影がお前を侵食する。そして永久に消えるのだ」
何かに取り憑かれたように別人へと豹変してしまったローグ。彼は一時はガジルとの戦いで自分たちでは妖精の尻尾の仲間意識には勝てないと判断し敗北を認めようとしていた。しかし、突然自分の“影”に体を乗っ取られ、ガジルを殺そうと激しい攻撃を繰り出し始めたのだった。
先程まで首を掴み持ち上げていた彼はガジルを地面へと落とし自らの魔法である影に取り込ませようとする。
「眠れ、暗闇の中で」
徐々に影の中に沈んでいくガジル。しかし、そんな危機的状況なのに彼は笑っていた。
「火竜にできて俺にできねぇはずがねぇ」
そう言うと彼を飲み込もうとしていた影がその体へとまとわりついていく。
その影は次第に顔へと向かって登っていき、ガジルはそれを喰らう。
「!!」
「ギヒヒッ」
影を食べたガジルは力が戻ってきたのか、ゆっくりと立ち上がる。
「バカな・・・」
「影を・・・食べちゃった・・・」
「さすが。やりおるわい」
「影の属性を吸収したのですね」
ガジルの思いもよらない行動に驚く人々。
「誰だか知らねぇが、そいつの体から出ていけ」
「ローグから?」
ガジルは彼の豹変が何かに取り憑かれたからだとわかっており、体を乗っ取っている何かにそう言う。
「それと・・・そいつの名前はローグじゃねぇ。俺の弟分だったライオスだ」
ローグは幼い頃自分の名前が嫌で別の名前を名乗っていたのだ。シリルに花を渡した時もこのライオスという名を名乗っていた。だからシリルとガジルはローグという名を聞いても誰だかわからなかったのである。
「お前は俺に憧れてたんじゃねぇ。あの頃の俺がそんな男じゃなかったのは俺が一番よく知ってる。お前は、俺を恐れていたんだ」
影の属性を吸収したガジル。彼の姿は先程とは大きく違っていた。
「これは・・・」
対戦相手であるローグのみならず、観客たち全ても彼の変化に息を飲む。
「もう一度思い出させてやる。俺の恐怖を!!」
全身が銀色の鉄に覆われ、目は瞳も何も関係なく白くなっているガジル。さらには全身から高くなった魔力が溢れ出ており、それが身体中を包み込んでいた。
「2つの属性・・・だと?」
「ギヒッ」
驚愕の表情のローグと不敵な笑みを浮かべるガジル。
『さぁ!!これは先が読めなくなってきた!!一体どうなると思いますか?ヤジマさん』
『さすがに予想スようがないね。滅竜魔導士というのは底が知れないからねぇ』
『いやいや、ローグ選手は第三世代の|滅竜魔導士《ドラゴンスレイ
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