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魔王の友を持つ魔王
§XX-一周遅れのクリスマス
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 グッ、と親指を立てる黎斗に眩暈すら覚える。この人はわざわざ神獣を五匹もつれてきたのか、と。

「ほら、恵那行くよ!!」

「え、きゃっ!!」

 恵那の手を掴み荷台に乗せあげ、トナカイ達に軽トラの荷台を牽かせて走り出す。空中を疾走する即席ソリの出来上がりだ。

「パソコン&GPSで現在位置も完璧。よし、あと二時間で、配れるところだけでも配るよー!!」

 意気揚々と叫ぶ黎斗と

「ちょ、れーとさん飛行機にぶつかるぶつかるー!!」

 横を通り過ぎたせいで、乗客がパニックを起こした飛行機。

「メリークリスマス、リア充爆ぜろ!!」

 高らかにベルを鳴らし、数時間のイベントを暴走する彼の視線の先には地元の子供の家。

「開け」

 黎斗の声に従うかのように、空間が歪む。子供の部屋までの最短通路が出来てしまった。

「えぇ!?」

「数分だけだから、早く」

「え?え? とりあえずりょーかい!!」

 混乱中の恵那だが、考えるだけ無駄と判断したのか、軽快な身のこなしで部屋に侵入する。

「これでいーのかなぁ……」

 悩みつつも、黎斗の指定した番号の札を枕元へ置く。もち運びの関係上今は札になっているが、朝には呪力が切れてプレゼントになるらしい。細かい話は恵那にはわからない。

「一日遅いけど、めりーくりすます♪」

 最後に微笑みながら、恵那はその家を後にした。

「よし、次いくよ!」

「うん、次いこう!!」

 ノリノリなサンタコンピが、深夜に夜空を爆走する。

「あ、あれ……? にーさんと恵那さん?」

「めりーくりすますー!!」

 実家にも乱入し

「え?え?え?」

「さらば!」

 混乱する義妹にプレゼント爆撃。

「あれ? 水羽さん?」

「めりくりぃ!!」

 児童館施設のボランティア君にも

「夢かこれ? なんつーふぁんしーな……」

 プレゼント爆撃。

「あ、れーとにーちゃんだ!!」

「良い子は寝てなさいめりくりぃ!!」

「めりくりおせーぞ兄ちゃん!!」

 プレゼント爆撃。

「めりくりぃ!!」

 爆撃。

「めり――――」

 爆撃----。



○○○


「やりとげたぁ……」

「流石に疲れた……」

 深夜テンションと化した二人はそのまま朝方まで爆撃を繰り返し、早朝帰宅と相成った。

「お疲れ様でした」

「さぁ。冬休みじゃー!!」

「あ、マスター学校サボってたんで追試ですよ」

「なにぃ!?」

 追試で赤点とって冬休みの課題が増える、という素敵なプレゼントを先生からもらうのは半日後の出来事で。

 
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