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魔王の友を持つ魔王
§XX-一周遅れのクリスマス
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恵那に、死んだ瞳のエルが返す。

「……たしか須佐之男命様の屋敷にあったかと。マスターが貯め込んだメイド服やらチャイナ服やらがわんさかと」

「……どうしよう今ナチュラルに気持ち悪っ、って思っちゃったんだけど」

「大丈夫です。玻璃の媛様も同じような事仰ってましたから」

 女子高生とキツネ、二人そろって深いため息をついて。そんなとある冬の日の事。



○○○



「間に合った……」

 よれよれの恰好で黎斗が帰宅したのは、クリスマスの夜の事だった。背後には白い巨大な袋と、住宅地図。それとデスクトップパソコンと軽トラ。コイツはなにがしたいのだろう、という視線を受けつつ黎斗はパソコンを軽トラの荷台に設置していく。

「どこをどうしたら間に合ってるんですかねマスター。もうあと2時間でクリスマスになりますよ。クリスマス”イヴ”じゃなくてクリスマスですよわかってます?」

「ごめんなさい、ってそうだよ時間ないんだから着替えないと!! あぁ恵那のコスプレ分用意してないこれからドンキ行けば買えるか!?」

「ダメだこの人。時間管理が壊滅的になっていない……まぁ、須佐之男命様の部屋から徴収、もとい譲り受けたものがあるので恵那さんに着てもらいました」

「さっすがエル!!」

「れーとさん、これで良い……?」

 サンタコスした恵那を見て、黎斗の手が一瞬止まる。露出はそこまで高くは無い。須佐之男命の家に置いていたのはミニスカートのサンタ服だ。上は普通のもこもこした赤と白のあったかそうな服で、赤い帽子を被っている。

「う、うん……」

 若干顔を赤くして、またパソコンの方を向いて。チラッ、と時折恵那の方に視線を向けつつ。気づかれそうになると視線を戻して。その様子を見て、黎斗の元まで駆け寄って、耳の近くでエルがぼそっと。

「……女性苦手発言前されましたけど、もう治ってんじゃないですか? ただ単に恥ずかしいから恵那さんに近づけないだけと見ましたが」

「……うっさい」

「図星ですか。このヘタレ」

「…………うっさい」

「? 二人ともどーしたの?」

「なんでもない!」

「恵那さんのサンタコス似合ってるね、ってマスターが」

「ちょ、エル!?」

「そ、そっか……」

 まさかの発言に黎斗は動揺し、恵那は頬を赤く染め。

「って、ヤバい時間が無くなる!!」

 焦った黎斗の指がつぅー、と宙をなぞる。瞬間、トラックの前方が切断。荷台だけが残った形だ。

「みんな、お願い」

 黎斗が空へ声を張り上げる。

「え? みんな?」

 呆けたようなエルの視線の先には、五匹のトナカイ。空中を疾走する、トナカイ。

「頑張って見つけてきた!!」
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