§XX-一周遅れのクリスマス
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「なぁ」
某電気街。某ビル最上階。VIPルーム、とでも形容するべき部屋に場違いな男が四人いた。メイド喫茶の建物だからだろうか。メイドの美少女達が時折飲み物を持ってきてくれる。いかがわしい店、と誤解をしかねない空間ではあるが、男四人の周囲に積まれた無数の薄い本が「ただのオタクの集会」であることを如実に示し。オーナーの知り合いだからこの部屋を使っている、という事情を知っているメイドの少女達は可憐な営業スマイルで四人組に奉仕する。以外に初心な男衆、営業スマイルといえど美少女に微笑まれると動揺してしまい触れることすら躊躇ってしまい。結果そこには思ったよりも健全な空間が出来上がっていた。
「ん?」
紅茶と抹茶にガムシロップ二杯とコーラを秘伝の割合で混ぜてカルピスを隠し味に加えたゲテモノ――通称黎斗スペシャル――を飲んで、顔を顰めた反町が言う。
「サンタコスしてくれる子に知り合いいないか?」
「……はぁ?」
「メイドが良い、っーから恥ずかしいの我慢して来たんだけど。サンタコスが良いなら先に言ってよ」
高木と名波、黎斗の疑問の声に答えるのは、反町の指したカレンダー。そうか。もうすぐクリスマスか。
「……まさかとは思うけど反町クン。君サンタコスの美少女からプレゼント欲しい、とかそんな理由じゃなかろうな」
「さっすが黎斗センセー!! そのとおり!!」
「その発想は無かった。黎斗センセー、頼む!」
「頼む!!」
もうヤダこの馬鹿達。これで三人とも黎斗より成績良いのだから理不尽だ。黎斗が語学を除けば学年最下位を争うレベルでアホの子なだけなのだが。かつて三人に宿題を教えていたのは遠い過去だ。
「お前らの知り合いにいないの?」
「いたら頼まねぇ」
「「同じく」」
「僕にいると思う? そーゆーのは護堂に頼めし」
「アイツブルジョワだからヤダ」
「…………」
「黎斗もそれなりには女友達いるだろ?」
「……サンタコスしてくれそうな肝の据わった子は知らないわ」
だいたいミニスカサンタコスとか言い出すのだろう。寒い冬にそんなもん穿かせられるかというのだ。と言ってみれば。
「馬鹿野郎!!」
真芯を捉えた反町の拳が黎斗を捉える。的確に放たれたそれは黎斗の顎に直撃した。
「へぶぅ!?」
馬鹿な。戦慄と驚愕が黎斗の脳裏を支配する。今の一撃、黎斗をもってしても反応できなかった。身体能力強化をかけていない現状でもカンピオーネ特有の集中力と見切り、更に黎斗の熟練の経験があれば大抵の神の攻撃には反応できる。更にそこに殺気や気の僅かな歪みといったものを察知すれば男子高校生の一撃程度、反応できないはずがないのに。コイツ一般人なのか……!!?
「ミ
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