暁 〜小説投稿サイト〜
フェイト・イミテーション ~異世界に集う英雄たち〜
ゼロの使い魔編
三章 王女からの依頼
架の休日<前編>
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 一面真っ白な空間
 右も左も、上も下も、前も後ろも、一体どこまであるのか分からない


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 “誰か、いるのか?”


 何もない空間から何か聞こえる


 ――――――――


 “何が言いたい?”


 問いかけてみるも返ってこない。
 その内意識がぼやけてきてしまう


 ――――――――

 
 “あ、待って――――”








「・・・・はっ!?」

 ガバッとコルベールは跳ね起きた。
 どうやら実験室に籠って夜更かししている内に机に突っ伏して寝てしまったらしい。
 窓の向こうではもう朝日が昇ろうとしていた。

「夢・・・でしたか・・・。」

 目をこすりながらぼやく。あの時聞こえたものは何かこちらに語り掛けていたような気もしたが。
 でもまあ所詮夢だったというわけだ。


 ガチャ


「やっぱりここにいたか、コルベール。」
「!ああヴァロナ君、おはようございます。」

 ノックもせず入ってきたのはもうそこそこ長い付き合いにもなる彼の使い魔。サーヴァントという、異世界の英霊という存在で暗殺を司るアサシンのクラスにいる男だ。ここで暮らすにあたり、仮の名として『ヴァロナ・テクートリ』と名乗っている。
 そんな彼は「またこんなトコで寝やがって・・・」とブツブツ言っている。

「しかしヴァロナ君、親しき中にも礼儀あり、ですぞ。ノックくらいはして下さいね。」

 ん〜、と肩をグリグリ回しながら一応忠告しておいた。まあ彼がこれで素直を聞いた試しがあまりないのだが。

「・・・・・。」

 一方忠告されたヴァロナはジト〜とコルベールを睨んでいる。そして徐に自分の右頬、続いて口元を指さした。

「ん?」
「本のあと、よだれ。」
「え、あ・・・。」
「説得力がまるでないな・・・。」

 ため息まじりに言われてしまった。確かにこれでは教師として台無しである。
 ゴシゴシとさすっているとこちらに目を向けずにヴァロナが尋ねてきた。

「ところで・・・何かあったか?」
「え?」
「いや、どこかぼーっとしているようだったからな。」

 軽口ばかり叩いているが、しっかりと相手のことは見ている。出会った当初にはなかった彼なりのいいところがここ数年で見えてきた。それだけでも、少し嬉しく感じてしまう。

「何笑ってる、気色悪い。」
「いえ、別に何もありませんよ。」
「ふん、そうか。ならさっさと仕度でもしろ、あんまり時間に余裕がねぇぞ。」

 そう言ってヴァロナは出て行った。
 とりあえず机の上を片付けながらさっき彼に言われたことを考えてみる。

「や
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