第九十四話
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」
あー、もう終わっちゃってんじゃないのよ――っと残念そうにハンマーをブンブンと振り回しながら、洞窟から帰ってきたリズの声。洞窟で足止めされていたメンバーが、ようやく脱出してルクスとユウキに声をかけていた。
「みんな……」
「あーっ!」
安心して柔らかい笑顔を見せるルクスとは対照的に、ユウキは何かに驚いているように、洞窟から帰ってきたメンバーを指をさして声をあげる。すると翼を展開させ、飛んでいたノリ――正確には、ノリが背負っていたNPCの少女こと、エメリの下へ飛んでいった。
「ごめんねエメリ! お姉ちゃん探しに行くって、ボクが言ったのに……」
手を合わせて本気で申し訳なさそうに、エメリに向かってそう謝るユウキを見て、自然とメンバーから笑みがこぼれる。ルクスが泣いていた少女を連れてきて、ユウキがその少女の願いを聞いたことで、このクエストは発生していた。その結果として――
「ルクスさん、二人とも凄いポイントですよ!」
「浜辺の英雄はキミだ、ってこういうことだったのね」
――この浜辺の視線は全て、巨大な怪魔と戦う二人の英雄へと集中していた。
『水着コンテストは終了となります――繰り返し――』
「……ところで、さ」
そしてポイント二倍の時間も終わり、水着コンテストは終焉を迎えていく。最後でどれだけ逆転出来たかは、神のみぞ知るということで、集計を待つしかなく。その間にリズは、さっきから気になっていたことを呟いた。
「ユウキ、なんでその日本刀持ってるの?」
「あ!」
「え? ああ、親切な人に貸して貰ったんだ!」
あまりにも特徴があり過ぎるその日本刀に対し、リーファも気づいたように声をあげる。どこからどう見ても自分たちがよく知る人物の愛刀を、嬉しそうに見せつけてくるユウキとは真逆に、リズは少し顔を覆った。
「何やってんのよアイツ……」
「あの焼きそば売りの人、リズたちの知り合いなの?」
「知り合い……というか、なんと言いますか……」
「え? もしかしてさっき言ってたリズの彼氏? ウソ! 紹介して紹介して!」
「ああ、あのカタナ言われてみればショウキさんのだね。どうりで切れ味がいいと」
「シャー――ラップ!」
みんなが好き勝手喋りはじめて収拾がつかなくなったものを、リズが照れ隠しも含めた大声で無理やり抑えた。静寂に包まれたメンバーを前に、リズが一つ一つ順序だてて説明していく。
「その日本刀はショウキの! ショウキはあたしたちの友達! じゃあユウキ!」
「はい!」
ヤケクソ気味にリズが確認を取っていき、最後に突如としてユウキの名を呼ぶ。まるで教師に壇上に上がるように言われたかのように、リズからビ
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