第九十四話
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女が何故か武器をカタナに持ち替えて現れた。そのカタナにルクスは見覚えがある程度だったが……ひとまずユウキと合流しようとするも、それをさせまいとする触手の抵抗を受ける。
「よし……ちょっと重いけど、いくよ!」
「ユウキ! その触手に捕まらないように!」
慣れない手つきで鞘を抜き放つユウキに、ルクスはせめてこの触手の危険性を伝える。ユウキが「わかった!」と元気に頷いた後、託されたカタナの柄を両手でしっかりと握る。
「えいや!」
試し斬りとばかりに、ルクスと自分の障害物となっている触手に高速で接近、時代劇のような見様見真似で斬りつける。その切れ味でもって、まるで豆腐を相手したかのようにスパスパと切断するが、ユウキの軽い身体はカタナの重さに引っ張られてしまう。
「危ない!」
その隙を狙ってきた巨大クラゲの攻撃をルクスが弾き、ユウキと連れ添って後ろに飛び、少しクラゲから距離を離す。
「ありがと、もう大丈夫! ……でもさ、これ……」
初めて使った武器ということで振り回されてしまったが、その柄の感触を確かめながら、ユウキはもう慣れたとばかりにカタナを構えてみせる。……ただ。
「この引き金とボタンは何かな……」
ユウキの知識にある日本刀にはないはずの、柄に引き金とボタンが取り付けられていた。このゲームのカタナには標準装備かとも思ったが、ルクスもそんなものは見たことがない、と首を振る。
「……押してみていいかな?」
巨大クラゲの攻勢も一瞬忘れ、ユウキは好奇心に惹かれてそんなことをルクスに聞く。目の前にボタンがあったら押してみたくなるのは人情というものであり、というか聞いた瞬間にボタンを押したいた。
「あっ」
日本刀《銀ノ月》に仕込まれたギミックは二つ。引き金を引くことで刀身を発射し、全てを貫く弾丸となる機能……とともに、新たな刀身を柄から発生させる機能。そしてボタンを押すことで発揮されるのは、刀身を超高速振動させる機能。
「わわわわ!?」
突如として揺れ始めたカタナに驚き、ユウキはつい反射的に手から離してしまう。もちろん空中に残された日本刀《銀ノ月》は重力に従わざるを得なくなり、あとは海に落下していくだけだが……それはユウキが人間離れした反応速度でキャッチし、何とかそんな事態は免れることとなった。
「何これ! 何で揺れるの!? 止まってって!」
超高速で刀身を振動させることでその切れ味を増し、岩すらもバターのように切断する――という機能なのだが、そんなことがユウキに分かる訳もなく。すっかり慌てたユウキがもう一度ボタンを押すと、その振動は徐々に収まっていき、ユウキが疲れたように息を吐く。
「ふぅ、よかっうわぁ!」
摩訶不思議な
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