第九十四話
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…」
水着コンテストの間はモンスターは出ないと聞いていたが、あの巨大クラゲは水着コンテストの一環か。そんな思考をしている間にも暴れているクラゲの前に、一人の妖精が現れていた。水色が混じった銀色の髪と、シルフであることを表す緑色の翼。白いビキニに二刀の剣――その剣が振るわれる度にクラゲの触手が切り裂かれ、人質のようになっていたプレイヤーが解放されていく。
「――ルクス!」
巨大クラゲの前に立ちはだかったのは、腰に巻いていた筈のパレオはなかったが、まさしくリズたちとともにいるはずのルクス。どのような冒険を繰り広げていたのか、新たな剣を持って戦う彼女の名を、隣に立っていたユウキが叫んだ――かと思えば。
ユウキはすぐさま翼を展開したかと思えば、巨大クラゲとルクスの方へ飛び去ってしまう。助太刀に行くつもりだろうが……あの折れ曲がった剣では無茶だ。反射的にそう考えた俺は、可能な限り速くアイテムストレージを操作すると、武器をユウキに向かって投げた。
「使ってくれ!」
俺から武器を受け取ったユウキは、目にも止まらぬスピードで海に向かって行く。ルクスを助けることが出来るか――と、投げた後にあることに気づく。自分のアイテムストレージの一番上にある武器、といえば。もちろん自分の主兵装とも言うべき存在で、水着コンテストの為に仕方なく外したメインウェポン。
「あっ」
――要するに、命より大事と言っても過言ではない日本刀《銀ノ月》は、見ず知らずの少女へと貸し出されたのだった。
――洞窟から一足先に脱出したルクスは、サーフボード代わりにしたシールドで滑りながら、巨大クラゲの触手を切り裂いていく。突然の襲撃に捕まってしまったプレイヤー達は、その剣戟によって解放されていくが、クラゲ本体への攻撃はルクス1人では手が足りない。
それでもルクスの二刀を持ってすれば、巨大クラゲの操る触手を防ぎきることは容易い。海岸にいるプレイヤーではなくこちらにヘイトを集めているならば、このまま耐え忍んでリズたちの合流を待つ。そう結論づけたルクスはシールドから飛び上がると、翼を展開して巨大クラゲの周囲を旋回する。
「こっちだ!」
言葉が通じるわけもないが――そう宣言しながら、ルクスは巨大クラゲと空中で対峙する。四方八方から迫る強靭な触手は、ルクスを包囲するより速く抜け道を飛翔されてしまい、美しい妖精を捉えることが出来ない。かといってルクスがいくら触手を切り裂こうとも、どうやら自己再生でもしているらしく、まるで決定打とはなっていなかった。
このまま千日手かと思われたが、巨大クラゲに飛んでくる小さな影をルクスは見た。
「ルクス!」
「ユウキ!?」
武器の破損によりダンジョンまで来ていなかったユウキ、彼
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