第九十四話
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を見渡すと、こちらに向かって深々と礼をした。
「あ、えっと……ごめんなさい! 急いでたから!」
「あ、ああ……」
砂をぶちまけてしまったことへの謝罪らしかったが、特に俺は被害は受けていないので、お茶を濁すような返答となり。全て被ったのはレコンだったが、どうやら砂を被った生首という謎の物体に、彼女は気づいていない様子だった。確かに、足元にそんなものがあるとは思うまい。
「派手な登場だね、ユウキ」
「うわっ!?」
テッチの知り合いなのか、ユウキと呼ばれた少女は足元から囁かれたノームの声に驚き、反射的に飛び退いた。数秒後にそれが自分の仲間だと気づいたのか、臨戦態勢を解いて砂の中に寝転んだテッチに視線を合わせた。
「ビックリしたぁー……あ、そうだテッチ、タルはどこ? ボク、ちょっと急いでるんだ!」
「うん、うん。そうみたいだね。タルならほら、女の人の水着が恥ずかしいーって、そこの日陰」
見るからに慌てているユウキという少女を諫めながら、テッチはのんびりとした口調で話しかける。とはいえ諫めた甲斐は全くなかったらしく、タルがいる日陰へと猛ダッシュで少女は向かっていき、すぐさまタルケンの悲鳴が聞こえた。
「仲間が騒がしくてすいませんね。良い子なんですけど」
「はあ……って、ユウキ?」
砂がぶちまけられて死にそうになったレコンの顔から、砂を拭いてやっていると、先の砂の範囲外に寝ていて無事だったテッチがそう笑う。ユウキという名前がどこかで聞いたことがあるかと思えば、先程リズたちが見に行ったとかいう剣舞をしていたプレイヤーの名だったような。
「なあレコン、今のって」
「うん、凄い剣舞してた子だよ!」
レコンにも確認をとってそのことを確信したが、あの非力そうな少女にそんな剣舞をするようなイメージが沸かず。最も、アバターがどんなステータスをしているのか外見で判断出来ない以上、外見でそうは見えないと言っても意味はないのだが。
「そういえば剣舞するって言ってましたよ。ああ見えても強いんですよ、ユウキ」
そうテッチのお墨付きを受けて。その剣舞をしていた彼女が、ダンジョンではないためメールが使えるこの場所で、あれだけ慌てて会いに来るとは一体どんな用なのだろうか。
「…………――!?」
ふと気になってそちらを見てみれば、ユウキという少女がクワのような刃物を持ってタルケンに迫っていた。そんな光景に声を失ってしまったものの、よくよく見ればそのクワのような刃物は片手剣であり。どうやら自身の得物が折れてしまったので、鍛冶妖精の仲間であるタルケンのところに来たのだろう。
……なんで水着コンテストで剣が折れ曲がるようなことが起きるのか、そもそもあそこまで曲がってい
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