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SAO−銀ノ月−
第九十四話
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たが師匠って誰だ。あと水着が恥ずかしいらしいのだが、いい加減日陰から出て来たら如何だろうか。そもそも、この仮想空間で砂浴をして意味があるのだろうか。

「……俺は何をやっているんだろう……」

 そんなとめどなく溢れ出すどうでもいいことに、自分がここにいる理由を問い直す、という……極限まで暇になるか悟りを開くかしないと考えないことまで口走ってしまう。自分はあくまでリズたちのコンテストのついでに来たわけで、1人だとどこまでも広がるこの大海原に特に用事はない。

「ショウキさん! なら僕を掘り返してリーファちゃんたちを追おう!」

「それはダメだ」

 男性プレイヤーである俺とレコンが海に繰りだすと、リズたち以外のチームにポイントが入るので。正確には、男性プレイヤーの視線によってポイントが加算されるそうなので、俺やレコンが他の女性プレイヤーを見なければいいのだが、申し訳ない。かといって、せっかくの海にこのまま何もしない、というのももったいない。

「泳ぐか」

 やはりこの大海原、暇を潰すにはそれしかない。そうと決まれば、そもそもここに残った理由である焼きそば店の片付けを早々に終わらせ、早々と海に行くしかない。SAOの頃はその環境もあって、水場といえばモンスターがいるか邪魔な障害物かのどちらかだったが、ウンディーネがいるからかALOは水場も作り込まれていた。せっかくの機会だ、と焼きそば店の片付けに入る俺に、テッチから声がかけられた。

「ああ、ショウキさん。もしも仲間に会ったら、よろしく言っておいてください。小柄なサラマンダーなんですが、ずっと泳ぎっぱなしで」

「ん。……ん?」

 テッチへの了承の声と疑問を発する声。風を切る音とともに、空中からこちらに近づいてくる気配――全てのプレイヤーが平等に飛翔する権利を持つこのALOにおいて、その音と気配は何も珍しいことではないが。この水着コンテストという場では、まだ聞いたことのない音と気配だった……何せ、コンテストで見られなくては意味がないのに、高スピードで飛翔する意味がない。

「いたー――!」

 何か急ぎの用かと空を見上げてみると、その瞬間にその物体は目の前に着地した。飛翔してきた勢いを全く殺さずに突っ込んできたソレは、着地の衝撃で砂を大空に散らしていき、それらは重力に従って再び大地へと落下していく。

「わっ! ぶっ!」

 頭だけ出した逃げ場のないレコンが、その落下した砂が炸裂しているのを視界の端に捉えながら、俺はその拡散する砂の範囲外へと避ける。一体何だ、と、その隕石のように落下してきた物体を見てみると。

 白いチューブトップを着た、紫色の髪をした小柄な少女。その髪色と翼から恐らくインプだろうと伺わせる彼女は、キョロキョロと何かを探すように辺り
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