第九十四話
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『これよりポイント三倍と――参加者の皆さんに――』
クイズ番組最後のチャンスタイムのような、まさしくリズたち参加者にとってはチャンスタイムそのものな、そんな放送が海岸沿いに響き渡っていく。リズに焼きそばの片付けを頼まれてはいたが、予期せぬお客様――テッチとタルケンと名乗った二名様に、急遽焼きそばを振る舞ってその作業も中断され。結局はぐだぐだと喋って過ごしていた。
「ショウキさーん……いい加減出してくれても……」
「リーファに怒られたくないから却下」
まだ生首だけ残された砂浜に埋められたままのレコンに適当に返しながら、作りかけのシールドをシャベルにして、砂浜の砂を集めていく。……もちろんレコンを首ごと埋める訳ではなく、それ以外のためにだ。
「よっこら、せっと……」
砂浜の砂を満載したシールドを腰を入れて持ち上げると、そこに寝転んでいた巨漢のノームへとかけていく。ザァァァ、と音をたてて身体を埋めていく砂がくすぐったいらしく、土妖精らしくなく笑っていた。
「いやぁ、すいませんねぇショウキさん。こんなこと頼んじゃって」
「お安いご用で」
砂浜に横たわるノーム――テッチに容赦なく砂をぶちまける。……字面からでは伝わらないが嫌がらせの訳ではなく、彼から頼まれてのことだ。せっかく海に来たのだから、砂浴がしたいとのことで。
「ふぃー」
「お、おお……!」
土妖精特有の巨大な身体に苦戦したものの、ショベル代わりにしていたシールドのおかげで、何とか寝ていたテッチの身体を砂に埋めることが出来る。ショベル――シールドを砂に立てかけ、つい癖のように少し息を吐く。
「そんなにいいのかな、これ……」
「ええ、ええ。一回やってみたかったんですよ」
縦に埋まっているレコンが心底不思議そうに言うと、首以外埋まったテッチが、感極まったかのように頷いた。縦ではなく横に寝ている、という違いはあるものの。ショベル代わりに使っていたシールドを、タオルでざっと吹いた後にストレージに入れる。潮風と砂にまみれてしまったコレのメンテナンスは、どうせこの海ではすることは出来ない。
「あ、あのっ! 今のシールドはどうやって作ったんですかっ!」
「いやどうやっても何も」
砂まみれになったシールドをどうするか、というかリズに怒られやしないだろうか、と――リズもシールドを舟にして海水を滑らせていると知らない俺は――思案していると。ちょっと緊張したようなタルケンから、そんな質問が飛んでくるがどう答えろと。鍛冶スキルで製作しました、以上のことは言えない。
「タルもやらないコレ? 砂浴」
「そんな暇ないんだよテッチ、師匠に鍛冶スキルのこと聞かないとさ!」
興奮しているようなタルケンだっ
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