九十七 里抜け
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び及び里人達はそれを受け入れられるだろうか。
実はスパイだったと火影自らが口添えしたとしても、サスケの真実を信じてくれる者は少ないだろう。
そこで綱手は保険として、風影就任の見込みがある我愛羅に取り引きを持ちかけたのだ。
我愛羅が『風影』になれるよう支援する代わりに、今回のサスケの件を要請する。
火影である自分以外、それもある程度の権限を持つ者が真実を知っていれば、隠密任務を終えたサスケが無事木ノ葉へ帰る可能性が高くなる。
火影だけではサスケへの疑惑をなかなか払拭出来ないだろうが、自里の長に加え多里の長の口添えがあれば、疑念は大幅に晴れるだろう。それに、たとえ風影になれなくとも我愛羅には既に風影の息子という肩書が付いている。
だがやはり息子よりも風影のほうが遙かに説得力があるのも確か。故に綱手は我愛羅に風影になるよう勧めたのである。
一方の我愛羅は、自分を救ってくれた波風ナルが火影を目指す理由を、綱手との対談にて知った。
自分の存在を認めさせる為に火影を目指すというナルの夢。
同じ境遇でありながら、かつての自分が己以外の者を恨み、何もかもを憎んでいた事実に反しての彼女の在り様に、我愛羅は心底、尊敬の念を抱いた。
大げさだろうが、我愛羅にとって波風ナルは、事実、恩人である。だからこそ、同時にこうも思った。
波風ナルが火影になるのならば、俺は風影として彼女を支えよう、と。
うずまきナルトの『君は影に生きるべきではない。影を背負う器だ』という言葉も後押しになり、我愛羅は風影への道を目指す為に、綱手との取り引きを承諾したのだった。
即ち、後ろ盾を得る代わりに、うちはサスケの里抜けを成功させよとの要請に応じたのである。
「……うちはサスケ。五代目火影の命令によりお前を見逃す――――今の内に行け」
この場から立ち去るよう明示され、サスケは胡乱な眼つきで我愛羅を眺めた。
本当に綱手からの要請で来たのか半信半疑である彼は、しかしながら視界端に捉えたナルの姿で決意を固めた。
自分を里に連れ戻そうと必死になっているナルに捕まれば厄介だし、なにより彼女を巻き込みたくない。ザク・アマルと対峙し離れている今がチャンスなのは間違いないのだ。
癪に障るが、ここは我愛羅の指示に従うのが得策だろう。
「…だが、一つ憶えておけ」
踵を返しかけるサスケに、我愛羅は背を向けた。互いに背中を向けたまま、暫し続く沈黙。
痺れを切らしたサスケが歩き始める寸前、我愛羅は己が最もサスケへ伝えたかった用件を口にした。
その声音はナルと会話していた時とは一転して、酷く冷たいものだった。
「もしお前がかつての俺のように、闇に染まった場合―――俺がお前を殺す」
大蛇丸の許へ行けば、
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