九十七 里抜け
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の宿でナルは約束した。
修行している新術――即ち【螺旋丸】を一番にアマルに見せると。
ハッと閃いて、ナルは【影分身】の印を結んだ。形態変化を影分身に担当させる。
(チャクラを圧縮して……)
手の中に渦を巻き始めたソレ。旋回するチャクラの渦が青白き光を放つ。
(―――留め切る!!)
手中で渦巻く青き珠を、ナルは迫り来る衝撃波にぶつけた。
蒼い衝撃。
「―――【螺旋丸】!!」
衝突と轟音、そして眩いばかりの閃光がその場に満ちた。
轟々と唸る滝の音を背に、サスケは警戒心を露に身構えた。以前対戦した時以上の強さを我愛羅から感じ取って、油断なく見据える。
戦闘態勢を取るサスケに対し、我愛羅は少しばかり離れた地点にいるナルの様子を窺っていた。
ザク・アマルと対峙している彼女にこちらの声が聞こえない事を確認する。
そこでようやくサスケに注意を向けた我愛羅は、悠然と構えたまま、砂を操った。
「…ッ、」
砂の唐突な襲撃。
咄嗟に飛退いたサスケだが、それより先に砂が足首に纏わりつく。
跳躍を阻まれ、踏鞴を踏んだサスケの頭上に影が落ちた。
「…………」
無言で見下ろしてくる我愛羅に慄然となり、急ぎ【写輪眼】を発動しようとするサスケ。
刹那。
「要請されたのは確かだが、五代目火影…個人からの要請だ」
「……は?」
無表情で淡々と話し出す我愛羅に、サスケは呆気にとられた顔をした。ぽかんとしたサスケに構わず、やはり無表情で我愛羅は語り続ける。
「うちはサスケ…お前を無事、木ノ葉から抜けさせろとの命令だ」
「…ッ!?」
途端に驚愕の表情を浮かべたサスケを我愛羅はよくよく窺った。同時に、ナルの様子を探る。
ザク・アマル双方と対峙している彼女の耳に入らぬよう、依然として声を潜めたまま我愛羅は言葉を続けた。
「うちはサスケ。お前が里を抜ける理由も、本来の目的も聞いている。それを踏まえた上で、俺はお前を追った」
我愛羅の話を愕然と聞きながらも、サスケは内心得心がいった。
木ノ葉のスパイとして大蛇丸の懐にわざと飛び込む、隠密活動。火影の建前上として派遣する追っ手の内、一人には自身の本来の目的を伝えるとサスケは綱手から聞いていた。
実際はシカマルがその一人なのだが、その事を知らぬサスケは当然、このような考えに至った。
木ノ葉を抜けた理由も、その本来の目的を我愛羅が知っているのならば、彼がその一人なのだろう、と。
綱手とて最初はシカマルにのみサスケ本来の目的を伝えていた。だが我愛羅の協力を得る為には、致し方無かったのである。
仮に、サスケが大蛇丸の許から逃れ、木ノ葉に帰って来る場合、果たして木ノ葉の忍
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