九十七 里抜け
[2/6]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
投擲されたクナイの嵐が、ナルと我愛羅に襲い掛かった。
慌てて飛退こうとしたナルと離れる寸前、我愛羅がそっと囁く。
「…お前はあの二人の相手をしてくれ。俺は…――」
我愛羅の言葉尻を捉え、戸惑いながらも頷き返すナル。それを眼の端に捉えつつ、我愛羅は静かに彼を見据えた。
ナルと共に移動したザクとアマルとは違い、先ほどから一歩も動いていないサスケと眼を合わせる。
以前、中忍選抜試験本選試合にて対峙し、そして『木ノ葉崩し』で闘った相手。
お互い物静かでありながら、共に眼光の強さは変わらない両者。
「……『木ノ葉崩し』以来だな。砂瀑の我愛羅」
パッと水が割れる。
寸前まで立っていた水面。それを断ち切ってゆくザクの【斬空破】をナルは素早く避けた。
サスケと我愛羅がいる像。その眼下に広がる水上で、ナルはザクとアマル双方と対峙していた。
もっとも攻撃してくるのはもっぱらザクばかりで、アマルは先ほどからずっと静観している。
戦闘に加わる気が無さそうな彼女の様子にほっとしつつ、ナルは再び放たれた【斬空波】をかわした。
「チッ…ちょこまかと」
あちこちで上がる水飛沫。何度【斬空波】を放っても、尽くかわすナルにザクは舌打ちした。
眼には視えぬ攻撃のはずなのに、何故こうも易々と回避出来るのか。苛立ちを募らせるザクの目前で、ナルが静かに構えた。
再度放たれる衝撃波。
「【蛙組手】!!」
眼には視えぬ衝撃波を、眼に視えぬ風が受け止める。そのまま相殺したナルが何事もなく佇んでいる様を、ザクは愕然と見つめた。
己の周囲の自然エネルギーの一部『風』を利用し、ナルはザクの【斬空波】の軌道を読んだのだ。
しかしながらザクにとっては、自分の攻撃がナルに効かなかったようにしか見えなかったらしい。
「…ッ、【斬空極破】!!」
【斬空破】よりも遙かに上回る威力。放たれた【斬空極破】を前に、ナルもまた蛙組手を繰り出そうとした。
だが、その前にザクが右腕を眼前に掲げる。
衝撃波を放つ左腕ではなく、生身ではない右腕。
中忍予選試合でシノと対戦した際に失った右腕は、今や大蛇丸から貰った義手だ。
だがソレを掲げた途端、【斬空極破】の威力が更に増した事実にナルは驚愕した。
右腕の義手を前に出しているだけなのだが、不可解な事に衝撃波の破壊力が上がったのだ。
仙術とは言っても【蛙組手】の劣化版では防ぎようがない。
「……ッ、」
迫り来る衝撃波を前に、ナルは視界端にアマルを捉えた。
やはり依然として沈黙を貫いている彼女の姿が瞳に飛び込んだ途端、ふ、と脳裏に思い出したのはかつての約束。
綱手を捜していた際、仲良くなったアマルと真夜中
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ