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雲は遠くて
100章 ボブ・ディラン と オクタビオ・パス
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新星!マンガ界のルノワール」などと、
雑誌や新聞のマスコミでも(さわ)がれ始めているは、
実際に、小学生のころから、ルノワールの描く、可憐な女優の肖像画、
永遠の微笑みを浮かべる『ジャンヌ・サマリー』とかに、魅了され続けているのであった。

 そんなルノワールの描くような、詩情あふれる、暮らしくなるような世界や、
会いたくなるような人物を描くことが、漫画家、青木心菜の願いだった。
西洋絵画の巨匠ルノワールの描く世界観は、青木心菜の憧れのお手本であった。
青木心菜(ここな)、1992年3月1日生まれ、23歳。

 半年も前のこと、下北芸術学校の関係で、心菜は、川口信也と出会う。
わずか数十分間の二人の会話であったが、心菜は、信也との初対面に、
不思議な特別なものを感じる。そして、恋に落ちている自分に気づくのであった。
クラッシュビートのことも知らなかった心菜は、信也の作る歌のことなどを知れば知るほど、
胸はときめいて、幸福な気分にもなったりするのであった。
信也への、キュンする想いが、本気モードであると認めるより(ほか)はないのであった。

・・・信也さんって、まるで、ルノワールの絵の世界に出てくるような感じの、
わたしが子どものころから、理想としている、憧れの男の人みたいなんだから・・・

「信也さんは、『高嶺の花子さん』を歌っても、やっぱりカッコいいわね!心菜ちゃん」

 カウンターで、心菜(ここな)の隣にいる水沢由紀が、そう言って微笑(ほほえ)む。
水沢由紀は、心菜の高校の同級生で親友だった。
現在、由紀は、心菜のマンガ制作のアシスタントをしている。

「うん、信也さんは、いつもカッコいい。信也さんの作るメロディや詩もすてきだし。
わたしの師匠は、ルノワールと信也さんかな!うふふ」

 心菜は、そう言って、ちょっと(うる)んだような()んだ瞳で、由紀に微笑む。

 由紀は、そんな心菜の恋心を(さっ)して、
カウンターの上の、細い心菜の手を、優しく握りしめる。

 プログラムの後半では、『クラッシュビートの好きな曲ベスト5』の発表とライヴがあった。

 そのベスト5には、セカンド・アルバム『TRUE LOVE』の収録曲で、
心菜が、特にお気に入りの、軽快に疾走するような、8ビートのロックンロール、
『ボブ・ディラン と オクタビオ・パス』が入っていた。
その心地よさにあふれる演奏や信也の歌声に、心菜も由紀も、胸を熱くした。会場も盛り上がった。

ーーーーーー
ボブ・ディラン と オクタビオ・パス    作詞・作曲  川口信也

本も読んでも 考え込んでも 答えの出ない人生の問題もある
その答えがわからないことには 生きていることも実感できない 問題
こん
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