暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン‐黒の幻影‐
第3章 黄昏のノクターン  2022/12
26話 奇蹟を携える者
[5/5]

[8]前話 [9] 最初 [1]後書き [2]次話
よう。

 このクエストを受領するにあたり、ロモロはこういった。「水運ギルドに船の素材を独占された」と。しかし、彼は俺達に熊の脂しか要求してこなかった。いや、()()()にそれだけを取りに行かせたのだろう。実力を計るとか、誠意を確かめるとか、この際些事は放っておくとして、問題はこの納品クエストの形態にある。
 同じフィールドに何度も向かわせて目的を達成させるタイプの、面倒くさい形態のクエスト。キーアイテムを入手するような重要なクエストに多く見られる傾向があるのだが、このSAOでそれをやられては時間と手間が途方もなく掛かってしまう。こういう筋読みは無粋なものかもしれないが、俺としても同じクエストに手間取るわけにもいかない。あくまでも本命は隠しクエストだ。

 試しに転がっている幹を確認すると、梢と根元は消滅しており、丸太のようにも見えなくないそれをタップするとアイテム入手を報せるウインドウが展開される。アイテム名は《銘木の心材》。これに関してはオブジェクトに対して一個だけ手に入る仕様なのか、複数個の入手は出来なかったが、いかにも高級感のある名前であり、ストレージにも収まることが確認できた。船の素材と見て間違いないだろう。


「燐ちゃん、みんな帰るみたいだよ?」
「ヒヨリも手伝ってくれ。この丸太を持って帰るぞ」
「これを拾えばいいの?」


 周辺に薙ぎ倒された幹は十二本。全てが丸太と化しているそれらのうち、手近な一本に近づいたヒヨリは俺がしたように丸太に触れ、ストレージに納める。


「なんだか高級そうな名前だった!」
「そうだろう。きっと良い船の素材になるぞ」
「それに三つも取れるんだね! たくさん造れるよ!」
「………は?」


 後に聞いた話だが、《銘木の心材》はゼロから三個までのランダム入手だったらしい。ちなみにヒヨリは拾った丸太全てを三個で回収してのけた為、俺達は合計で三十七本もの心材を入手することができた。

――――手段こそ知らないが、本格的にドロップ力を鍛えようと思い悩んだのは、また別の話である。
[8]前話 [9] 最初 [1]後書き [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ