第3章 黄昏のノクターン 2022/12
26話 奇蹟を携える者
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ゃん、その剣どうしたの?」
「レクステリウムのドロップ品だ」
軽く振り抜いてみるものの、軽さがどうしても目立つ。見る限りレイジハウルやティルネルの持つ《ゼヴェシュレゲナー》に迫る性能らしく、殊に耐久度に至っては俺達の所有する片手剣を上回るものである。威力に支障はないのだろうが、やはり慣れた得物の感覚と異なる以上は無理にこちらに更新する必要はないだろう。
「うそ!? リンってば、そんな隠し玉を………」
「隠し玉も何もない。これはクーネが使え」
「え!? で、でもこれ、きっと相当なレア武器でしょう!? そんなの簡単に渡されても困るっていうか、その………とにかく困ります!?」
クーネは突き出した白の片手剣を慌てて押し返し、首を激しく振って拒否する。
まあ、確かに。突然レアアイテムを無条件で渡される方が不安になるか。だが、決して無為に譲渡を申し出ているわけではない。
「俺の武器は十層でも通用する性能だから、例えレア物であろうとも未強化の武器に乗り換えるメリットがないんだよ。それで、比べるような言い方で悪いけど、アニールブレードはこの辺りで限界だろう。こいつは俺達の戦利品だ。戦って勝ち取った者が剣を握るべきだと俺は思う」
「………いい、の?」
「たまたまこっちに来てただけだ。適切なアイテム移譲だよ」
おずおずと、一度は押し返した片手剣に手を伸ばすクーネに渡す。正直な話をすると、売りに出そうにもアテがなく、それならば知り合いに使ってもらおうという思考放棄からの行動であることは黙っておこう。きっと可愛い女の子に使われた方がコイツも喜ぶに決まっている。
「じゃ、じゃあ、貰うわね?」
そして早速装備のプロパティを確認するや否や悲鳴じみた声をあげるものの、俺からしてみれば然程魅力を感じるものではない。むしろレクステリウムの強さから考えれば若干性能が足りないようにも思えるくらいだが、存分に役立ててもらおう。既に羽飾りを移し替えているところから察するに活躍は約束されたようなものだろうが。
さて、これで即興イベントも終了。戦利品の合計は《神秘の熊脂》四十個、《焔獣の毛皮》五十二枚、《焔獣の爪》五十本、《焔獣の牙》四十二本、《焔獣の掌》六個、《焔獣の尾》七本、そして片手剣《イニティウム・イグニス》が一振り。かなり過剰な収穫にも思えるが、これはプレイヤー一人あたりに設けられたドロップアイテムの数量が設定されていることによるものであり、SAOにおける仕様の一つだ。普通に考えて爪が五十も生えていたり、掌が六個も付いていたりする化け物を相手にした覚えはないので、その点においてはこのPT全員が理解していることであろうが、突き詰めて考えれば奇怪な現象と言えなくもないが、この件についての考察はここまでとし
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