第3章 黄昏のノクターン 2022/12
26話 奇蹟を携える者
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合う形で展開される。
「あ、リンちゃん、やっぱり脂落とすみたいだよ?」
「そうだな。《神秘の熊脂》が四つもドロップしてる」
ヒヨリの声に返し、ウインドウを見せて答える。
それにしてもこのドロップ数は大したものだ。クエストの要求するアイテムでは最上級品であることがアイテム名からも伝わってくるが、そんなレアアイテムを五つもドロップしてくれるとは実に気前が良い話だ。
「え、リン君、私それ七個貰ってるんだけど?」
「私は六つ、です」
「アタイも六つだ。ったく、男のくせに情けないねぇ」
「ボクも六つだよー? あれあれ〜、リンはドロップ力が弱いねー。もっと鍛えなきゃダ・メ・だ・ぞ?」
「そういう趣旨のイベントか。理解したぞ………というかレイてめぇ! そんなもん鍛えられるわけねえだろ!?」
クーネ達に散々罵倒され、大会の洗礼を受けたところで今度はヒヨリに目が向けられる。やや不服に思うところがあったものの、それらを溜飲しておくこととする。
妙に自信を持ったクーネ達に対峙するヒヨリは、不敵という表現には程遠い笑顔であったが、俺はこの表情の真意を知っている。良くも悪くも、ヒヨリに自信が漲っている状態で見せる笑顔。ドヤ顔に他ならない。
………そして、俺は思い出す。ヒヨリの運の力を。
「十八個………ヒヨリ、貴女なんなの?」
「リーダーの二倍以上、だと?」
「あれ、ボク………この子怖くなってきた………」
「ふっふーん、クーちゃんもまだまだだね!」
二位との差は二倍以上、三位タイの合計という、文字通り桁違いの数字で、ぶっちぎりの好成績を叩き出すヒヨリの実力はドロップに関わるものだけではなく、武器強化やレアモンスターとの遭遇にも大いに影響を及ぼす。添加剤による確率ブーストも無しに現在装備している武器を限界まで鍛え上げてしまったのだから筋金入りである。正直、敵う相手ではない。
驚愕するクーネ達の前で自信満々に胸を張るヒヨリとティルネルにあとの大会の成り行きは任せるとして、自分のドロップ品だけ先に確認することに。
既に確認済みの《神秘の熊脂》はいいとして、《焔獣の毛皮》が七つ、《焔獣の爪》が四つ、《焔獣の牙》が五つ。どうも素材の数は冴えないようだ。しかし、俺のリザルトウインドウの最奥に素材とは異なるアイテムが一つ、いや、一振りというべきか。ポツリと存在していたのだ。
オブジェクト化してみると、革の鞘に収まった、曲線的な両刃の片手剣。手に感じる重さは金属製のレイジハウルよりやや軽く、リーチはレクステリウムの角より短いくらいだが、純白の刀身は素材が何者であるかを暗に語っているようにも思える。銘は《Initium Ignis》、発音はイニティウム・イグニスだろうか。
「燐ち
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