3部分:第三章
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のだがやはり言えない。どうにも言うに言えないことばかりで困ってしまう。
「いいじゃない。格好よくて」
「ありがと」
澄也はその言葉を聞いてまた礼を述べた。
「そう言ってもらえると嬉しいよ」
「だって本当のことだから」
自分でもどうしてこんなことまで言うのかわからなかった。魔法のせいだと思うがそれでも口が自然に話す感じであった。そのことに自分でも困ってしまう。
「それでね」
「うん、行くんだよね」
「ええ、行きましょう」
沙世が声をかけて案内をはじめる。二人は並んで廊下を歩きはじめた。
そんな二人を窓の外から見る影があった。トラであった。
「まずは順調にはじまったかな」
沙世を見て言う。
「けれど嬢ちゃんも中々」
そう言ってにこりと笑う。
「積極的だね。奥手とばかり思ったけれど。それじゃあ」
その場を動く。そして姿を消して何処かへと向かった。
沙世は澄也を案内していく。中々広い校内であった。
「で、ここが体育館なのよ」
「広い体育館だね」
「そうかしら」
「僕の前の学校のより大きいよ」
彼は言う。
「ずっとね」
「ふうん」
「バスケの試合もやりがいがありそうだね、こんなに広いと」
「そうなの」
「うん。ほらさ、やっぱり広い方がいいじゃない」
これは沙世にも何となくわかることだった。やはりやるからには狭い場所より広い場所の方がいい。そうした気持ちはあまりスポーツには興味がない彼女にもわかることだった。
「だからね。ここで試合出来ると思ったら嬉しいよ」
「じゃあここでもバスケ部に入るつもりなの?」
「バスケ部あるんだよね」
「ええ、あるけれど」
「じゃあ入りたいな。それで」
体育館を見ながら言う。
「ここで試合とか練習したいね」
「じゃあ入るといいわ」
沙世は答えた。
「私もここ部活で使ってるけどいい体育館よ」
「バスケ部?」
「いえ、演劇部」
実は沙世は演劇部なのである。
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