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Element Magic Trinity
蛇髪少女は黒装束の手を取った
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。喧しく耳障り、何の意味も持たない何重にも重なる同じ音。耳に入る事すら不愉快になるノイズが、気づけば遠くのものになっていた。

「…れよ」
「ザイール君?」

名前を呼ばれた気がした。けれど気のせいだと無視をする。
ふざけるな、ふざけるなふざけるなふざけるな。その一言が思考を塗り潰す。誑かされている?一体誰が。術にかけられた?一体何の。同情を引きたいだけ?何を根拠に。悪びれもせず?何も知らないくせに。可哀想に?誰が。


―――――俺が?
彼女の優しさに気付かずに虐げ続ける事しか出来ない、お前達でなく?


ぐるぐると回って、回って、行きついた先が―――怒りで、真っ赤に染まった。

「黙れよ、口々に喚くな鬱陶しい。俺がお前達程度の言葉に流されるとでも思ったか?」

誰かが目を見開いた。誰かがひゅっと息を呑んだ。誰かが何かを言おうと口を開いて、鋭く睨む黒い目に負けて口を閉じる。
その“誰か”の名前が容姿に追いつくよりも先に、彼はこの場にいる全員と目に見える敵対関係を作り出していた。

「だとしたらとんだ茶番劇。……滑稽すぎて、笑えない」









「そ、それで皆様を敵に回したと仰るのでございますですか!?」
「言葉が変だぞ。それにそんなに驚く事でもないだろう」

平然と言ってのけるザイールに驚きを通り越して呆れめいた何かを感じつつ、ぽかんと開いた口をどうにか閉じる。妙なところで行動力のある彼だが、今回も随分とその才能と呼んでいいのか解らないそれを発揮したらしい。

「け、けれどそれでは…ザイール様はどうなるのです?街には」
「戻るつもりはない。いずれ去る気ではいたが、丁度いい機会に恵まれた」
「…そう、ですか」

零れた声は、想像以上に沈んでいた。
勿論、どこかで考えてはいた事だった。彼には彼のやりたい事がある。そしてその為には街を出る必要があるかもしれない。そうなった時、その日が来てしまった時、シュランがすべきなのは笑顔で見送る事だ。いつまでもこの社に縛っていてはいけないなんて事、ずっと前から解っている。

「それでだな、シュラン」

くるり。ザイールが体ごとこちらを向く。体勢を変えて胡坐を掻き、体育座りから正座に座り直したシュランの目を真っ直ぐに見る。
喉に張り付きそうな声をどうにか絞って出した返事は小さい。「…はい」と返した彼女に、先ほどのように言いにくそうにしながらも、覚悟を決めたのか口を開いた。

「その、街を出て……一緒に暮らさないか、俺と」


…。
……。

……ん?



「……はい?」

何度繰り返しても意味が半分も入ってこない。いや、解ってはいるのだが信じられない。
今、彼は何を言っただろう。街を出るというのは重
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