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大海原でつかまえて
10. 大海原でつかまえて
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……

「させるかクマァア!!!」

 自身から目が離れた途端、球磨の両手が火を吹き、ヲ級を次々に張り倒していく。張り倒した時の音がもはや『バチン』ではなく『バゴォオオオオン』という爆発音に近い。
 
ヲ級たちも張り倒される度に立ち上がるが、球磨もまた、その度に再度ヲ級たちを張り倒して張り倒して張り倒した。艦載機の発進を諦めたヲ級たちが数の暴力で球磨を押さえつけ拘束しようとするが、球磨の勢いは止まらない。

「シュウが決心したんだクマ! 比叡とシュウは本当の家族になるクマッ!! 二人の邪魔はこの球磨が許さんクマァアア!!!」

 球磨は自身を拘束するヲ級をバカ力で振りほどき、別のヲ級を張り倒して撃沈した。

 一方ぼくとカ号は、姉ちゃんの頭上に来るように少しずつ位置を調整しながら下降しつづける。姉ちゃんの姿が、表情が見えるぐらいにまで近づいてきた。

「シュウくん?!」
「姉ちゃん!! 今から行くから待ってろコノヤロー!!!」

 また姉ちゃんへの怒りが再燃してきた。指輪を渡すから覚悟しろコノヤロー。消えてなんかやらん。世界に反抗してやる。世界よ。文句があるなら姉ちゃんを恨め。

「うん……待ってる!!」
「後少し……あと少し降りれば……!!」

 だいぶねえちゃんに近づいてきた。後少し降りれば、問題なく飛び降りることが出来ると確信した瞬間、僕のほっぺたを何かがかすめた。見るとレ級たちがこちらに砲塔を向けている。

「ヤバい……!!」

 次の瞬間、レ級の一人に砲撃が直撃した。金剛さんが片膝をついた状態で、それでもレ級をスナイプし、バリアを突き抜けたようだ。

「妹と弟のケッコンの邪魔は……させまセン……!!」

 もう一人のレ級も、足元が爆発してダメージを負ったようだ。キソーさんが雷撃をしたらしい。キソーさんを見ると、ボロボロの服を着たキソーさんがこちらを見据えていた。

「道は開いてやったぜ!! あとはお前が姉ちゃんしっかり捕まえろォ!!」

 高さが5メートル……いや10メートル?……いやもうそんなのどうでもいい。とにかく飛び降りても問題ない程度の高さにまで降下できた。

「妖精さん!! もう大丈夫! 行ける!!」

 僕は自身をぶら下げているカ号を振り返り、そう怒鳴った。カ号に乗った妖精さんが身を乗り出して僕を覗き込み、変わらぬサムズアップと敬礼をしてくれた。

『ゴーヤはいつでもOKだよ!!』

 無線からゴーヤの声が聞こえた。てれたびーずの方を見ると、岸田がこっちを見て頷いている。大丈夫。行ける。

 ぼくは大きく息を吸い、ありったけの力と怒りと、姉ちゃんへの気持ちを込めて叫んだ。
 
「ねえちゃァァああああん!!! もうどこにも行かさないから覚悟しろォォ
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