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暴れん坊な姫様と傭兵(肉盾)
09
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に…」
「おう、そんなに急ぐなよ。 俺達との仲だろ」

 うひー! 仲って何、仲って!?

 別段(べつだん)仲がイイわけではないのに、向こうから勝手に(から)んでくる程度のもの。
 それでもこっちとしては迷惑極(めいわくきわ)まりないので、(から)まれても困るから回避(かいひ)しようとしている。
 しかし、向こうは勝手に追いかけてくる上にこの待ち()せ……ホントに厄介だ…。

「でも…だからってこんな所にまで来なくてもいいんじゃないかな〜、と僕は思うんですけどぉ…」
「あぁ? 何か言ったか?」
「あ、いえ…何でも無い、です…」
「お前が逃げるのが悪いんだぜ、こんな所で寝泊まりしてて…俺達を舐めてんのか?」

 こんな所とは失敬(しっけい)な。
 一応、ここは砦の要所(ようしょ)物資(ぶっし)を保管している倉庫だ。
 そしてついさっき自分が起床(きしょう)してきた場所でもある。


 ……はい、実は其処(ここ)…自分の寝床なんです。



 こんな事を言ったら意味不明に思われるが…それほど深くなく、(かた)れば短い浅〜い訳がある。

 実はそこの傭兵(ようへい)三人組に初日から(から)まれてしまったのが原因だ。
 最初は傭兵(ようへい)達が雑魚寝(ざこね)してる空き広間があって、そこで傭兵の一人として寝床(ねどこ)にしていたのけれど……寝ても覚めても三人組に酷い目に()わされてろくに寝る事が出来なかったのである。
 もう二日目から寝床(ねどこ)に困る事になり、あちこち転々(てんてん)として行き()いたのがこの倉庫だ。


 (よう)するに、コソコソと逃げ回って行き()いたのがここだと言う事だ。

 戦場だけじゃなくて、ここでも逃げ回る羽目(はめ)になっている自分って……。

 だけど、目を付けられていようとも、待ち()せされていようとも、自分はここ以外に寝床(ねどこ)を変えるわけにはいかなかった。

「え〜と…ぼ、僕の仕事場はここな訳ですし…ねっ?」
「ねっ?じゃねえよ! ふざけてんのか!? 寝床(ねどこ)を変えろって言ってんのがわかんねぇのかよ!?」
「ひいぃっ!!」

 沸点(ふってん)の低い怒りを(あら)わにして、力任せに僕の胸倉(むなぐら)を掴んできた。

 何と言おうとも、ここだけは(ゆず)れない一線として悲鳴を(こぼ)しながらも(うなず)きはしなかった。
 倉庫で仕事にして、倉庫で夜を明かすのは自分にとって安全策なのだ。

 この倉庫は装備、食糧、補充品、素材…等もろもろの物資(ぶっし)(おさ)められていて、砦の生命線である。
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