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傭兵の一日は蹴られる事から始まる。
「あふんっ…!」
そんな朝っぱらから僕は変な声を出して倒れた。
不意打ちで後ろから思いっきり尻を蹴られてしまったからだ。
起床して顔を洗った後の隙を突かれてしまい、前のめりに顔から床に突っ込んでしまう。
「へっへっへっ…よう、マーチン。 起きるのが遅ぇぞ」
自分を蹴飛ばしたのは同じ傭兵。
そしてその傍には同じく傭兵が二人。
その三人揃って自分に向ける目が決して好意的なものではない事をすぐに察する。
と言うかここ数日の間、もはや顔馴染みになるほど遭遇しているが、いつもこんな視線を向けてくる。
「ひぃっ……な、何をするんですか〜……」
腰が引けて、蹴飛ばされたままの体勢で怖気付いた。
三人が徒党を組んで敵対しているこの図は、明らかに自分にとって不利である。
「何をだぁ? ちょっとしたおふざけだよ、傭兵にはよくある事だろ」
「だよなぁ」
「遊んでるとも言うがな」
その…遊んでる、とは悪意を込めて言う事でしょうか……。
こういった三人組というのは、割とどこにでもいる…のだが、そういった類の標的にされやすいのが僕である。
人が三人揃って徒党を組むというのはここまで気を大きくさせるのか、同じ人でありながらまるで獲物を見つけた野獣か何かのようだ。
―――だが、一応弁解をしておくと、だ。
別に自分は特別遅く起きたわけではない。
ちゃんと朝ご飯がありつける時間帯の前に起床している。
やらかして寝坊したりする自分ではあるが、ご飯を逃すことはなるべくしない方だ。
なのにも関わらずだ…。
別に待ち合わせしているわけではない傭兵三人組がなぜここにいるのか?
どうやら向こうの傭兵三人組はわざわざ早起きして自分を待ち伏せしていたらしい。
ちなみにこれは昨日も一昨日もそうだ。
三日続けば偶然ではなく、完全に狙い定められている。
気が引き締まっていない自分ですら“あ、これは狙われてる”、というのがわかる。
数日もの間何度も顔を合わせているが…正直うんざりだ。
「あ、あの…僕…朝食
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