第二十五話
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すぐに元通りになった。
「敗者に選択の自由など無い」
「そうやって逃げるから勝てないんだよ、君」
私より遥かに身長のあるオッタルは自然と睥睨する形だけど、威圧的な雰囲気は感じられない。と言うか、本当に言葉通り潔く諦めてるのか。
「私の親友に君と良く似た人がいてね。今の君を見てると無償に腹が立ってくるよ。せっかく類稀な才能を持って生まれてそれを最大にいかせる環境があるのに、努力を放棄して怠けてるだなんて。そんな器なのかい? 君は」
「……」
「努力を怠っていないって? 現に君、こんな所でミノタウロス相手に油を売っていたじゃないか。そんな暇があったら深層に潜ればいいのにさ。足りないものを手探りだろうと探し出すっていう気概が感じられないよ」
幼女に説教される巨漢という奇妙な図が成り立った。私の気分的には先輩と後輩なんだけど。
アイズ同様勿体無すぎる。成長できる見込みは十分あるのに、周りの環境と本人が蓋をしちゃってるのが許せない。
「君は何を求めて冒険者になったの?」
私は簡単な問いを投げかけた。不動を貫いていた彼はここで初めて獣の耳を動かした。
「今の君はそれを見失ってるんじゃないかな。それとももう手に入ったと勘違いしてるのか、かな。先人として言わせて貰えば、君くらいの若さで手に入るものなんて多寡が知れてるよ」
錆色の瞳がぶつかる。その奥に小さく揺らめいている何かを見た気がした。
「まあ、私が君と戦ったのはそれを言いたかっただけさ。上を見ることを忘れた人は、永遠と先に進めないよ」
じゃあね、と肩越しに手を振りながら崩れ山を作る瓦礫を縫って九階層を目指す。隙だらけの背中を晒してるけど、不意打ちされることはないだろう。
今の彼は、ようやく上を見ることを思い出しただろうから。私を不意打ちで倒したところで先に進めないと解っているだろうから。
私が説教するなんて、やれやれ、年は取りたくないもんだ……。考え方が老けてきたよ。
◆
「貴方には任務を与えたはずよ? どの面下げて私の下に帰ってきたのかしら」
バベル頂上。一柱の女神と一人の亜人が対面していた。尤も、片方は豪奢な椅子に優雅に腰掛け片手にグラスを弄び、片方は跪き頭にハイヒールを押し付けられた状態だが。
女神の声音はいつも通りだ。怒りを感じさせず、ぶっきらぼうでもなく、ただ犬に話しかけるかの如く。亜人は恐れず言った。
「失敗しました」
「失敗? 私は耳をおかしくしてしまったのかしら。もう一度言ってもらえる?」
「失敗しました」
「……ふーん。で? そんな負け犬がどうして私の前にいるのかしら。私の嫌いな物、知ってるわよね?」
頭に圧し掛かる重みが増した。それどころか肩や背
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