第二十五話
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と思っちゃうよね。
あぁ、今回のオッタルの敗因はずばり読みの低さです。私はそこにつけ込んだだけです。
彼の名誉のため言っておくと、オッタルの戦闘技術は断じて低次元じゃない。むしろLv.7にふさわしい非常に高次元なものだった。アイズが二人で襲い掛かっても、もしかしたら勝てるんじゃないかってくらい。
ただ、未曾有の脅威に対して対応力が低かった。
アイズも然りだけど、ステイタスが高くなればなるほどステイタスに頼ってしまうことが多くなる。それが重なっていくうちにステイタスに頼っているということすら忘れてしまう。彼らが今まで五体満足で無事に生還できたのは遥か格上と戦ったことが無いからだろう。
それはレベルの話ではない。武術や経験といった、冒険者の根底を支えるところについてだ。オッタルたちは自分の身の丈に合った戦いしかしてこなかったはずだ。多少背伸びをしたからこそレベルは上がっているのだろうが、それじゃ足りない。自分より圧倒的な技術を持つ者と何度も戦わないと、読みは鍛えられないよ。詰めが甘すぎる。
まあ、こればかりは彼らのせいじゃない。彼らはこの時代で頂点に行き着いてしまった。だから見上げるべき高みを見失い、目下に広がる景色を眺めるしかなかったのだろう。私に言わせれば、本当に強くなりたいならダンジョンの深層に滞在してればいいのにって感じなんだけど。それは彼らの所属する派閥が許してくれるとは思えないから、やっぱ彼らは本当の意味で熟練することはできなかったんだろうね。
私の体術はただ自分の身体を捌けば良いって話じゃない。相手の動きを読んで、その気に合わせて最適の体勢に身体を運ぶ。そして正確に事を成す。常に相手を把握し続けなければこんな業、何の利にもならない。地面に衝撃を受け流せるだけというのは緊急回避に於いて役立つだろうけど、その域を抜けることはできない。そこからさらに一歩踏み出せるからこそ業なんだと思う。
なんかジジ臭いことばかり考えてるなぁと思いながら瓦礫の山から目的の物を見つけ出し、身につける。ルームの端に置いておいたのが幸いだったのか、瓦礫に埋もれることなくまとまって落ちてた。ナチュルの鍛えた槍は自由落下を経てもなお無傷で瓦礫に突き立ってた。上着も埃まみれだけど、今の私の下着はボロ雑巾に等しいからマシだろう。
ちゃっちゃと支度を終えた私は身体を痙攣させ平伏しているオッタルに向かって治癒魔法を掛けた。淡光が彼の全身を包み込み、瞬く間に傷という傷を治しきってしまう。ほんとこの魔法便利すぎるわ。
失意から戻ったオッタルは頭に手を当てながら起き上がった。
「さてどうする? 私は続けても構わないけど、君に勝ち目は無いと思うよ」
素直にそう言ってやると巌のような身体が膨れあがったように見えたが、
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