第二十五話
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ミノタウロスくらいなら一撃で蹴り殺せてしまう脚の筋肉を爆発させ、正面に控えるレイナに突進する。オッタルによって蹴り抜かれた床から悲鳴が上がり大量の石礫が散乱し、暴風に等しい反動が巻き起こる。
レイナの背後に回るなどしない。絶対強者は相手がどんな小細工をしようが力でねじ伏せる。それを証明するかのようにオッタルはあえて愚直に真っ向から襲い掛かる。
対するレイナ、前世より遥かに劣る動体視力だがオッタルの恐るべき加速に付いていき、攻撃が加えられるより前に衝撃の受け皿を用意する。
か細く小さな腕が虚空へ突きつけられたとき、再び空気の層が一斉に圧壊した。
「【ヒリング・パルス】」
猛然と攻撃を加えるオッタル。それは一回や二回に収まらない。四肢を巧みに利用した圧倒的手数の打撃は一呼吸の間に十を上回る。作戦通り物量でレイナを押し潰すつもりだった。
一撃目でレイナの右腕がちぎれ、二撃目で左腕が爆発四散する。何人の介入の余地はない三撃目でレイナの胴体も同じ運命をたどるはずだった。ついさっき破壊したはずの右腕がすんでのところで割り込んできて代わりに破裂する。飛び散るはずの血肉は圧倒的な物理量の前に潰れてしまい飛び散ることはなかった。レイナが両腕を失う直後のタイミングに回復できるよう、予め魔法を詠唱しておいていたのだ。これにより両腕が無いという状態をほとんど無くし、随時対処できる。絶妙なタイミングに魔法を起動できるようにする技術も然り、つまりオッタルの攻撃を読みきっていることに他ならなかった。
続く攻撃も嵐のようにレイナを破壊していくが、そのどれも潰したはずの両腕に悉く守られ、ついに逃がし続けていた衝撃がルームの床を突き破り、二人共々下層に落ちた。
バラバラと巨大な岩や砂埃が落下する。不安定な浮遊感が身体を包む中、両者が両者から目を離す、なんて愚行はおこさない。オッタルは手近で落ちる巨大な落石を片手で掴み、とんでもない膂力で以ってそれを投げ付ける。普通に考えてそんな体勢から繰り出される投擲物に勢いなどあるわけもないが、オッタルとて現代に於いて頂点に君臨する冒険者だ。レイナに劣るともアイズを遥かに凌ぐ身体捌きを心得ているのだ。よってモンスターの一や二程度なら余裕で殺せるほどのエネルギーを孕む投擲物と豹変し、空中でろくに身動きの取れないレイナに直撃する。
レイナを巻き込んだだけに留まらず砲弾と化した岩石は壁面に激突し、盛大に砂埃を吐き出した。
が、その砂埃の中から無傷のレイナが飛び出し、岩石の上にひょいと乗ったではないか。岩石はガリガリ壁面を削りながら比較的穏やかに落下し続ける。あろうことかレイナは投げ付けられた岩石を壁面に抉り込ませ、リフトのように動くよう運動を変化させたのだ。
先に八階層に着地したオッタルは猛然とレ
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