第二十五話
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と仮定すると、受け流す対象は地面でなくても良いはずだ。衝撃とは発生地点から接しているあらゆるところに広がる運動だ。つまり掌から受けた衝撃を足を通して接している地面に受け流せるということは、もう片方の掌にも衝撃を流すこともできるはず。その片方の掌をどこかしらに接しておけば良いのだから。たとえばオッタルの身体とか。
ふざけたような理論だが、現状を鑑みるにそういったケースも考えなければ、最悪の場合自分で放った一撃が自分の命を潰すことに成りかねない。解れば解るほど厄介な体術を会得していると内心毒づくオッタル。
とは言え、こちらはLv.5程度の力加減でも十分レイナの命を潰せるので、カウンターをされるという最悪な場合を想定して常に力を抑えておけば、レイナからの有効打は無くなるはず。
衝撃を吸収する役割を果たす掌から腕は木っ端微塵に消し飛んでいることから、受け流せる衝撃の量は限られていると見て良いだろう。人を水風船に例えると一定量まで水すなわち衝撃を含むことはできるが、一定量を越してしまうと破裂するか穴が開く。レイナの腕が吹き飛んだのは許容範囲以上の水を含んでしまったから、超えてしまった分を吐き出して処理したと捉えられる。
つまりあの体術にも限度があるということだ。もしこれがLv.10で行われていたと考えるとぞっとする。Lv.1の今だからこそ欠陥のある体術なのだろう。
そうとなれば選択肢は二つ。
レイナの体術の処理能力を遥か上回る衝撃を与えて自滅させるか、回復させる間も無いほど連続で衝撃を与えて圧殺するか。
現状後者が現実的である。たった一言で全快してしまうが、それが魔法である以上精神力も消費しているはずだ。それほど優秀な治癒魔法だと消費する精神力は馬鹿にならない量のはず。ならばレイナの精神力を枯渇させれば勝負はつく。
問題が、Lv.1の動体視力でLv.7の領域に追随できていることだ。率直に言って、それは無理な話だ。一定以上の衝撃を受け止めきれず腕を破裂させたのが良い証拠で、神の恩恵による身体強化はLv.1相当だ。Lv.7の身体能力に追いつける道理はない。しかし追いつけているのが現状である限り、それは紛れも無くレイナ自身の実力に違いない。
僅か二合の間で何をどう読み取ったのか想像できないが、相手は前人未到の領域に辿り着いた大英雄だ。まだ自分の知らない世界を知っている者だ。一つや二つ、自分に理解できない芸当をしでかすことくらい想定済みだ。
レイナ側からオッタルへの有効打はカウンター以外ないはずだ。【アルテマ】という手もあるが、最低でも半径50Mの範囲を破壊しつくす魔法であるらしいため、普通の間合いを保っていればまず撃たれないと考えて良い。
「ッ!!」
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