2部分:第二章
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第二章
「そう言ってくれたから。だから」
「そうだったの」
「お兄ちゃんがお腹の中にいる時も佐代ちゃんがいる時も」
お母さんはその時のことも言う。
「お父さんが支えてくれたわ。とても心配していたお母さんをね」
「あのお父さんが」
「誰だって同じなのよ」
お母さんはまたそれを述べて強調した。そうして佐代子の心に刻み込むかのようであった。
「不安なの。誰もね」
「私だけじゃないんだ」
「けれどそれは乗り越えられるの」
お母さんの言いたいことはそれだった。それをはっきりと言うのだった。
「そうして乗り越えたら」
「乗り越えたら?」
「不安や心配が楽しい想い出になるのよ」
「そうなの」
「今の佐代ちゃんだってそうよ」
顔を上げている佐代子の顔を見る。心配が少しずつ消えていっているのがわかる。それはお母さんにもよくわかった。そのことで心の中で笑ってもいる。
「今だってね。小学校に入る時も」
「いい想い出になって」
「アルバムがあるわね」
「うん」
佐代子が持っているアルバムだ。それは彼女の部屋にある。
「あれ見ればわかるわ。佐代ちゃんとても心配そうな顔をしてお父さんとお母さんの間にいるから」
「あの写真ね」
それを言われてやっと思い出した。自分がその時どんな状態だったのか。確かにこれから心配で仕方なかった。それが顔にもはっきりと出ていてお父さん、お母さんと一緒にいたのだ。
「そういえば私」
「けれどお父さんとお母さんが大丈夫って言って。すぐにお友達もできたじゃない」
「そうだったわね」
その通りだ。それで彼女はすぐに元気になったのだ。そのことを今思い出した。
「それで私」
「今だって同じよ」
お母さんは今の佐代子について話を戻した。
「お父さんもお母さんもお兄ちゃんもいるし」
「お友達も。小学校からのお友達も」
「ええ」
今それで気付いた。自分は一人ではないということも。
「皆が支えてくれるから。安心して」
「うん。これからもそうよね」
「勿論よ」
また優しい笑みを浮かべるのだった。その顔で佐代子を見詰めていた。
「きっとこれから。佐代ちゃんにも旦那様ができて子供もできて」
「お母さんみたいに」
「なれるわ。きっと」
佐代子をその言葉で包み込んでいく。佐代子はその言葉の中で自分の心の中の心配事を消していくのだった。いや、自然にそれが溶けていっていた。
「だから安心して。幾ら心配や不安があっても」
「支えてくれる人がいるから」
「いてくれるから。いいわね」
「うんっ」
これまでよりも強い言葉で頷くのだった。それが今の彼女の心だった。
「わかったわ、お母さん」
「わかってくれたのね」
「私中学校でも楽しくやるから」
絶対にそうなると思
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